<全国高校野球選手権:聖光学院4-2日大三>◇9日◇1回戦

日大三(西東京)の寒川忠(あつし)主将(3年)は試合後、笑顔で聖光学院・赤堀主将と握手を交わした。目が合えば、気持ちは通じる仲。「自分たちの分まで頑張ってくれ」。短い言葉に、思いを込めた。

大阪・枚方ボーイズのチームメート。寒川が主将、赤堀は副主将として全国大会16強入りをした。2人について、母桜さん(49)は「磁石みたいに、いつもひっついて離れない」と表現する。練習が終わってから2時間、黙々とバットを振っていたことも。宝塚のラーメン店「しぇからしか」で腹を満たし、甲子園から約5キロの寒川の実家で一緒に寝る。休みには、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも行った。どこに行くにも、一緒だった。

高校で進路は分かれたが、それぞれのチームの主将として最高の舞台で再会した。寒川は2-3で迎えた7回1死一、三塁、カウント2-0から140キロ直球をしっかり捉えたが、一塁手への強烈なライナー。あと1本が出なかった。

ネクストバッターズサークルで、試合終了の瞬間を迎えた。冷静にバットをベンチまで運び、泣き崩れる仲間に気丈に声をかけた。「赤堀はしぶとい打者だなと感じた。中学時代に切磋琢磨(せっさたくま)した仲間なので、本当は勝ちたかったんですけど、楽しい時間でした」。2人の物語は、これからも続いていく。【保坂恭子、中野椋】

◆福島県に勝てず 日大三は12年夏にも聖光学院に1-2で敗れており、返り討ちに。これで東京勢は福島県勢に春夏通算0勝4敗。岐阜県勢(0勝6敗)とともに2県だけ残る対戦未勝利を打破できなかった。

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