東北(宮城1位)が、2試合連続の逆転勝ちで山形中央(山形1位)を下し、優勝した10年以来12年ぶりの4強入りを決めた。

ミラクル的な球運が東北に流れを呼び込んだ。2点ビハインドで迎えた8回だ。1死一、三塁。鳥塚晴翔内野手(1年)が放った、ボテボテのゴロが三塁内野安打となり1点を返した。続く3番山田翔琶(とわ)内野手(2年)の打球は一塁線へのボテボテのゴロ。これも内野安打となり、さらに相手投手の暴投を誘い、2者が生還し逆転に成功した。今秋から監督に就任した同校OBで元巨人の佐藤洋新監督(60)は「完全に打ち取られた打球が内野安打になり、運といいますか…。子どもたちの思いが白球に乗っかったとしか思えない。最後まであきらめずに戦った子どもたちをほめてあげたいです」と振り返った。

劣勢だった。相手エース左腕に手も足も出ない。4回までノーヒット。7回を終え、わずか2安打と打線は沈黙。最速144キロの直球を軸に、90キロ台の変化球を織り交ぜた組み立てに手を焼いた。打者はバットを短く持ったり、セーフティーバントを試みたりするも、7回までは無得点と反撃の糸口すらつかめなかった。「(試合前から)苦戦することは分かっていましたが、手も足も出ない内容でした。先制点を取られましたが(8回の)ワンチャンスをものにしてくれた」と目を細めた。

準決勝は聖光学院(福島1位)との大一番を迎える。来春センバツは第95回の記念大会のため例年より1校増枠の3校が東北地区の一般枠として選出される。決勝まで勝ち進めば、春の甲子園出場に当確ランプがともる。