2年ぶり11度目出場の常葉大菊川(静岡1位)は、久保綾哉(りょうや)投手(1年)が4失点完投。津商(三重2位)に5-4で競り勝った。29日の準決勝では加藤学園と対するため、静岡県代表校の決勝進出が確定。昨年の三島南(21世紀枠)、今年の日大三島に続く、県勢3大会連続のセンバツ出場に大きく前進した。

常葉大菊川の1点リードで迎えた9回2死一塁。久保が最後の打者を空振り三振に仕留め、左手の拳を握った。10安打8四死球と苦しみながら、4失点完投。153球の粘投で勝利に導いた左腕は「制球も定まらず、球も浮いてしまった。今までで一番苦しかった」と胸をなで下ろした。

期待に応えた。チームでは、エース右腕の福住柚稀(ゆずき、2年)がコンディション不良で離脱。この日もベンチを外れた。久保は試合前、石岡諒哉監督(33)から「お前と心中する」と託され、マウンドに上がった。序盤の3回には左太ももをつりかけたが、「自分が頑張るしかない。福住さんの分も次につなげようと、気持ちだけだった」。意地で最後まで踏ん張った。

厳しい初戦を乗り越え、2018年夏以来の聖地へ、また1歩近づいた。準決勝は加藤学園と対戦。久保は「勝てば甲子園が大きく見えてくる。勝ちたい」と視線を上げた。