常葉大菊川(静岡1位)が、加藤学園(静岡3位)との「県勢対決」を2-0で制した。先発の久保綾哉(りょうや)投手(1年)が、2安打完封。チームを勝利に導いた。来春のセンバツは記念大会のため、東海地区の一般枠は1枠増の3枠。決勝進出を決め、2013年以来10年ぶりとなる春の聖地へ大きく前進した。30日の決勝(草薙球場)で東邦(愛知1位)と対する。

重圧をはねのけ、期待に応えた。勝てば、10年ぶりの「センバツ」がくっきりと見える準決勝。常葉大菊川・久保が、2安打完封の快投を演じた。2-0の9回2死二塁。最後は見逃し三振に仕留め、左手拳を握った。「甲子園は小さい頃から憧れの場所。近づけてうれしい」。試合後は、心地よい疲労感に浸った。

安定感抜群だった。9回10安打8四死球と苦しんだ23日の2回戦・津商(三重2位)戦(5○4)後、黒沢学部長(45)の助言でワインドアップからセットに変更。ブルペンでは、打者を立たせて投げ込んだ。課題だった「左打者の内角への制球」「体重移動」を意識し、実戦感覚を磨いた。

迎えた加藤学園との大一番。1週間前の姿はない。「コースにテンポ良く投げられた。内角に入る直球もうまく使えた」。相手打線の軸となる1番太田侑希(2年)を内野安打1本、4番大木漣(2年)を無安打に封じた。いずれも左の強打者を沈黙させ、反撃を断った左腕。石岡諒哉監督(33)も「一番良い投球だった」と、絶賛した。

決勝は優勝候補の東邦と対戦。久保は「投げる機会があれば、今日みたいにどんどん攻めて勝ちたい」と、07年以来15年ぶりの東海制覇だけを見据えた。勝って、甲子園をより確実なものにする。【前田和哉】

■岩崎、攻守で貢献

常葉大菊川の3番岩崎匠悟二塁手(2年)が、攻守で久保を支えた。初回2死、内角のスライダーを捉えて左翼席にソロ本塁打。高校通算4号となる公式戦初アーチで先制点をもたらすと、6回の守備では中前に抜けそうな打球を軽快にさばいた。決勝進出に大きく貢献した背番号「4」は「チームは東海大会優勝を目指してやってきた。次も勝ちたい」。決勝に向けて気を引き締めた。