沖縄尚学(九州)がまさかの大逆転負けで、大物食いに失敗した。

夏の甲子園を制し、今大会も優勝候補の仙台育英(東北)に対して、エース東恩納(ひがしおんな)蒼投手(2年)が好投した。直球は130キロ台だがコーナーを鋭く攻めた。6人を並べた仙台育英打線の左打者には、ツーシームを有効に使った。8回まで無失点。8回を終わって4-0。完封も期待された。

だがこの時点で球数が120球を超えていた。右腕は「疲れは感じなかった」と振り返ったが、球が浮いた。長短打を浴び、4失点で追いつかれ、なお1死二塁で打席に迎えたのは4番斎藤陽外野手(2年)。歩かせる選択肢もあったが、勝負に出て2球目のツーシームは真ん中へ。鋭い打球が中堅左にはずんで悔しい幕切れとなった。

「4点差あったので気の緩みがあったと思う。相手は全国をたくさん経験していて、コースが甘くなるともっていかれると思ったので、丁寧な投球を心がけた。球数がどうしても多くなってしまう。もっと簡単にストライクを取って、少ない球数で9回を投げられるようにしたい」。東恩納は反省点を並べた。

同校でエースとして99年センバツ初優勝に導いた比嘉公也監督(41)は、投球スタイルの改善を求めた。「最後に一気に5点取られるのは全国レベルとの差。東恩納は変化球のボール球が多すぎる。それであの球数になる。どうすれば1人で投げられるのか、持ち帰って成長につなげたい」。

今夏の甲子園でも投げた3投手に対し、打線はほぼ思い通りに対応した。初回2死三塁で4番の仲田侑仁(ゆうと)内野手(2年)が先制右前打。4回1死満塁から糸数幸輝外野手(2年)が2点中前打。5回にも宮平良磨内野手(2年)の中前打で計4点。

ほとんど投手の研究はせず、個々の打席での感覚を重視。同監督は「1球目からタイミングを取りきって、振り切る。これが基本。九州では見ないスピードや切れのある変化球に対して、ある程度の見極めができた。振り負けなかった。ここが一番成長したところ。継続して、もっと磨きをかけたい」と野手陣については、手応えを得た。

目指す方向性に自信を深め、課題もくっきりとした。甲子園まで4カ月ある。頂点をうかがう存在になるかもしれない。【柏原誠】

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