日米通算4367安打のイチロー氏(49=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が3、4日の2日間に渡り、富士高校のグラウンドで同校の男子硬式野球部員を指導した。

イチロー氏の指導の成果で、選手たちはわずか1日で見違えるほどの成長を見せた。初日にもらった「声を出すように」とのアドバイスを生かし、最終日は活気あふれるノックで練習を終えた。指導を全て終えたイチロー氏は「今、その感じ、昨日の最初より、全然、違う。みんなで励まして、チームの感じがするでしょ。この感じ、忘れないで」と、「声」の大切さをあらためて説いた。そのうえで、優しく語りかけた。

「勉強でも大変だと思うけど、壁に立ち向かっていけるように、今日のこの感覚を忘れないで」

野球への取り組み方が、勉強だけでなく人生の歩みにもつながる。「声」を通じて、選手たちの心に訴えた。

最後、選手から「努力をして壁に向かっていくとき、原動力は」と質問をされた。「僕はずっと野球をやってきて、好きなものだから。シンプルに壁がきたらそれから逃げようとしなかったし、立ち向かっていった。負けたこともいっぱいあるけど。でも、そうじゃないのに向かわないと行けないときは、自分の決断に責任を持って、向かって行く」。決断力の大切さを話した。

選手たちの目標は「野球を通して、リーダーとなり地域に還元する」だ。イチロー氏は、あらためて選手たちの目標に目を向けた。

「自分に対して、いつも厳しくあってほしい。そうすれば、将来、どの世界に行っても、人を引っ張っていける人間になれると思います。みんな、そこを目指してほしい。期待しています。よく頑張りました」

勝敗だけではない。野球の大切さを選手たちに教え、富士での指導を終えた。

新宿に続き、今年2校目の高校訪問を終えたイチロー氏は、高校野球で大切なことを「野球が好きで、情熱を持って取り組んでいる」と再確認。今後も強豪校ばかりでなく、それぞれのスタンスで取り組む選手たちと一緒に野球をやっていく考えだ。