V候補の智弁和歌山がまた初戦で散った。自慢の強力打線が英明(香川)の3投手の前に2得点と沈黙。失策も絡んで終盤に勝ち越しを許した。2季連続の初戦敗退は同校初。金星の英明は寿賀弘都外野手(3年)の投打にわたる活躍でセンバツ初勝利。東海王者の東邦(愛知)は苦しみながら鳥取城北を振り切った。

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智弁和歌山ナインは一様に険しい表情で取材エリアに入ってきた。中谷仁監督(43)は口を真一文字に結んだ。「負けるべくして負けました。今の実力。選手を気負わせたり、持っていき方をうまくできなかった僕の未熟さです」と負けを認めるしかなかった。

相手のサイド右腕下村の直球にことごとく差し込まれた。対策は十分していたが、青山主将は「力みすぎた。実力がなかっただけ」と振り返り、4番中塚は「自分のスイングをさせてもらえなかった。追いかける展開になって焦りもあった」。魔曲ジョックロックに乗って6回に1-1と追いついたが、8回に不運も重なって痛恨の2失点。裏の攻撃は1点止まりで、9回も無死二塁で中軸が倒れた。11安打で13残塁。あと1本を出せなかった。

技術的な原因より、監督が気にしていたのが気持ちの部分だった。

「気迫負けです。うちの選手はきれいに勝とうとか、横綱相撲をとらないとと思っているのか、甲子園でやるために頑張っているのに、ミスを恐れているというように見える。そんな力はない。言葉にしづらいけど、もっとがむしゃらに夢中で戦ってほしい。WBCじゃないですけど」

打倒・大阪桐蔭、甲子園制覇を目指して和歌山に集った有望選手たち。全国的な強豪ゆえに現れた甲子園の魔物だったのかもしれない。青山は「私生活の態度も出る。一から見直します」と一層厳しい表情で語った。【柏原誠】

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