夏春連続出場の海星が機動力を武器に社に快勝した。

SG4度優勝のオートレーサー田中茂(46)の次男で、50メートル6秒1の1番田中朔太郎内野手(2年)が、父譲りの“猛スピード”でかき回した。1回、快足を生かしてタッチアップから先制ホームを踏み、3回には二盗を決めて2安打1得点。8強入りの16年以来の白星発進に貢献した。長崎県勢は甲子園で春夏通算70勝目となった。

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海星が誇るスピードスターが“爆走”で、初戦突破に貢献だ。初回だ。先頭打者の田中が内野安打で出塁。三塁に進むと、1死で3番永田の打球は左翼への浅いフライ。それでも迷いはなかった。間一髪のタイミングだったが、快足を飛ばしてタッチアップで生還。3回にも二盗を決め、2安打1得点と活躍したリードオフマンは「次も自分が塁に出て、足を使って得点圏まで進んで、1本で帰ってきたい」と声を弾ませた。

父は飯塚オート所属で、スーパースター王座決定戦を制すなどSG優勝4度の田中茂だ。「命をかける仕事で勝負しているので、すごい。自分はどれだけ頑張っても、父には追いつけない」と尊敬する。今回、父からのアドバイスは特になかったという。だが、「お父さんの頑張っている仕事の姿が、頑張ろうという気持ちにつながっています」とモチベーションだった。オートレーサー試験に合格して近く養成所に入る兄崇太さん(21)からも「甲子園で楽しんでこい」と激励され、力に変えた。

チームの大きな武器である機動力野球で、7年ぶりの春1勝をつかんだ。加藤慶二監督(48)は「大きいですね。足のある選手ですので、積極性があるので、いい流れをつくってくれた」とたたえた。3回戦の相手は広陵。田中は「ノーエラーで、流れを持ってこられる守備をしたい」と意気込む。好きな言葉「疾風迅雷」。父に負けじと、エンジン全開でダイヤモンドを疾走する。【菊川光一】

◆田中茂(たなか・しげる)1976年(昭51)12月6日、福岡県生まれ。26期生として99年にデビュー。飯塚所属。全国ランキングS-21位。SG4勝(オートレースグランプリ、日本選手権2回、スーパースター王座決定戦)、G1・7勝、G2・4勝。通算優勝49回、通算勝利数は802。164.6センチ、56.3キロ。血液型AB。

◆田中朔太郎(たなか・さくたろう)2006年(平18)5月10日、北九州市生まれ。永犬丸小1から永犬丸レッドライオンズでソフトボールを始める。永犬丸中では八幡南ボーイズ所属。海星では1年夏からベンチ入り。昨秋新チームから三塁レギュラーも、センバツは二塁コンバート。好きなプロ野球選手はDeNA森敬斗。好物はすし。遠投95メートル。168センチ、68キロ。右投げ右打ち。血液型AB。家族は両親、兄、弟。

○…「勝利の方程式」で、社打線を5安打1失点に封じた。エース左腕の吉田がカーブ、スライダーを交え、緩急を使った投球で7回4安打1失点。6回に降板する予定だったが、続投を直訴。気迫の投球が光った。8回から右腕の高野が1安打無失点で締めた。広陵との次戦へ、吉田は「3球で2ストライクに追い込めるようにしたい。四球を出さず打ち取りたい」と意気込んだ。

○…長崎県勢史上初となる「ダブル選出」された長崎日大との初の「アベック初戦突破」へ、勝利で勇気を与えた。県内のライバル同士で、互いに「先に負けられない」と意識しあう。加藤監督は「非常にうれしく思います。明日、みんなで応援に行こうかなと思っています」と話した。21日に登場する長崎日大に甲子園でエールを送る予定だ。

▽海星・田川主将(5回2死一、二塁で右越え2点三塁打を放ち)「今日は自分にチャンスが回ってくることが多かった。(三塁打は)主将として、4番として1球でしとめることができてよかった」

◆無失策試合 海星-社戦で記録。今大会初。

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