報徳学園にもうミラクルは起きなかった。4点差で迎えた最終回は、再三の巧打を見せてきた下位トリオが3者凡退に倒れた。

2-0の5回に悪夢の7失点。戦いを終えた主将の堀に最後まで笑顔はなかった。「配球が一番大きい。自分のミスです。なんで打たれたのか気付くのが遅かったのが敗因です」と責任を背負い込んだ。

初めて部員間の投票で決まった主将だ。指導陣から見た堀は「気持ちにむらがある」と頼りなかった。前チームに比べ、おとなしい選手が多かった。礒野剛徳部長(36)の発案で、甲子園決勝の仙台育英-下関国際を生で観戦した。尻に火をつける目的だった。秋季大会から今センバツと、接戦を次々と制していくチームに、頼りない昨夏の面影はなかった。大角監督は「主将として成長しました。捕手としての姿、投手を引っ張る姿勢がすごくよかった」とリーダーに認めた。野球の技量にとどまらずチームの柱となった堀は「そんなに簡単には優勝できないと思った。応援してくれたスタンドのみんなに申し訳ない。また全員でやり直したい」と誓った。夏に、大きな忘れものを取りに戻ってくる。【柏原誠】