大阪桐蔭が猛攻で14得点。5回コールドでベスト16入りを決めた。

ベスト4に終わったセンバツからの立て直しに向け、西谷浩一監督(53)が今大会を前に思い切った決断をした。

「前田なしでどれだけできるか」

エースで主将の前田悠伍投手(3年)をベンチから外した。元々、今大会で登板させる予定がなく、「じっくり練習させた方がいいと思った。経験は十分積めている。他の投手を試すこともできる」と西谷監督は意図を説明した。

選手も監督の意向に応えた。打線で気を吐いたのが、前田に代わって今大会限定で主将を務め、1番左翼で先発した笹井知哉内野手(3年)だ。

右足の肉離れでセンバツは控えだったが順調に回復。「打撃は好調が続いてます。結果にこだわらず、後ろにつながるように」という意識で2安打。さらに、3度の出塁で全て盗塁し、攻撃を活性化した。

4月に突然、主将代理に任命された。「びっくりした」と素直な気持ちを明かしたが、「今は代わりに抜てきされているだけ。(西谷)先生の気持ちに応えられれば」。西谷監督も「頑張ってやってくれている」とキャプテンシーを高く評価する。

もう1人の攻撃の主役が4番三塁で先発出場したラマル・ギービン・ラタナヤケ内野手(2年)だ。

初回、打者17人の猛攻で12得点。うち5打点をたたき出した。1死3塁で迎えた第1打席を左翼への適時打。2死満塁での第2打席で左翼に突き刺さる満塁弾を放った。

高校通算9本目で2試合連続の公式戦3号。「自分の形で打てた。いい感じだった」。ただ、満塁弾を放っても浮かれた様子がないのは課題もあるから。本塁打後の打席が凡退に終わったことには「1本打ってホッとしてしまった。気の緩みもあった。もっと丁寧にいきたい」と反省した。

西谷監督が「期待が高いだけにもっともっと、という思いはあります」と期待する逸材。センバツではスタメンに定着できず悔しい思いをしただけに「結果を残したら使ってもらえる。西谷先生から信頼してもらえる選手になって、夏はレギュラーをとりたい」と燃えている。

一方、投手陣は平嶋桂知投手(2年)、安福拓海投手(2年)、松井弘樹(3年)の継投で2安打無失点に抑えた。前田なしでも層の厚さを見せつけた。【阪口孝志】