昨春の東北王者・聖光学院が日大東北に10-3で勝利。21安打10得点の貫禄勝ちで、3年連続春の頂点に立った。なかでも4番・三好元気外野手(3年)が左越えソロ本塁打を含む3安打3打点とチームをけん引した。日大東北も11安打を放ったがチャンスを生かし切れず。残塁「8」が響いた。3位決定戦は学法石川が郡山に9-5で勝利した。

元気一発! 初戦の田村戦、準決勝学法石川戦では無安打の聖光の4番が輝きを放った。1回2死三塁、二塁内野安打で先制点を挙げると、3回には無死一、三塁では再び三塁内野安打を放ち2打点目。4回1死では左越えソロと3打席連続打点を挙げ、チームを勢いづけた。三好は「1試合目と3試合目はチームに貢献できてなかったので、『何が何でもこの試合は絶対貢献してやろう』という気持ちでした」と振り返る大活躍で4番の仕事を完遂した。

「チームのために」という意志はぶらさなかった。県大会は打撃で思うようにいかない場面もあったが、「自分は、引きずることができるほどの選手じゃない。自分が打てなくてもチームが勝てればそれが一番」と語り、守備や走塁で100%を発揮し続けた。4回の本塁打には「1人の1打席じゃなく、『あいつらを絶対負けさせない』という気持ちがあったから1本が生まれたのかなと思います」。「チームのために」強い気持ちが乗った1発だった。

冬場は、課題とする「長打力」向上のため、ウエートトレーニングに精を出した。その成果もあって、3打席目以降は強い打球を連発。三好は「今まで以上にパワーがついた。冬場と比べて“1球の圧”が変わったと思います」と手応えを実感した。夏に向けては「どのチームよりもどの選手よりも1球1球に入り込みたい」。成長を続ける聖光の4番がチームの勝利のため、1球にこだわっていく。【濱本神威】

○…日大東北は9年前に3-5と敗れた春決勝のリベンジを果たせなかった。21年秋から指揮を執る吉田翔監督は「悔しいが、決勝戦を経験できたことはすごくうれしく思いますし、成長を感じた部分がたくさんあった」と目を細めた。昨秋は支部大会決勝で田村に敗れ、県大会では東日本国際大昌平に敗れ初戦敗退。そこから一冬越えて春は県準優勝。指揮官は夏に向け、「この悔しさを次に生かして強くなっていきたい」と力を込めた。次は県の頂点へ、濃くはっきりとした成長曲線を描いていく。