京都国際・杉原望来(みらい)投手(3年)が完封勝利で近大付(大阪3位)を退けた。高校では練習試合も含めて初完封。176球の大熱投だった。

9回は2四球で最後のピンチを迎えた。大ファウルを打たれるなど厳しい状況が続いたが、表情を全く変えず投げきった。最速143キロ左腕は「疲れは全然なかった。今日は全く打たれる気がしなかったです。こういう試合で完封できて自信になりました」と充実感たっぷりに話した。

最大のピンチは6回。先頭に三塁打され、1死一、三塁とされたが、左翼の高岸栄太郎外野手(2年)の好守に救われた。「あれが大きかったです」。その裏、待望の援護点が入った。この日の杉原には2点あれば十分。7回からはギアを入れ直すように再び快調にアウトを重ねた。

最後の打者を中飛に抑えると軽くガッツポーズした。マウンドに向かう前に一礼するのがルーティン。気持ちがたかぶり過ぎて、叫んだりオーバーアクションをしてしまうため、おじぎすることで心を整え、相手への敬意を示す。帽子の裏には笑顔を意識した「常笑」とチームプレーを意味する「For you」の文字。背番号1を背負う責任感で「野球は1人ではできない。チームを勝たせる投球をするために書きました」と笑った。

甲子園4強に導いたDeNA森下瑠大投手(18)のあとを次ぐエース。小牧憲継監督(39)は杉原のスタミナに太鼓判を押し「あいつはあれくらい投げても大丈夫。前は幼稚だったけど、だいぶ大人になりましたね。森下をずっと見てきて成長してきた」と頼もしげだった。

高卒でのプロ入り、そしてメジャー入りが大目標。その前にまず、先輩たちが果たせなかった全国制覇を掲げる。「甲子園で優勝するために京都国際に来た。近畿大会くらいでは絶対に負けられない」と、どこまでも熱かった。【柏原誠】