金光大阪が代打・松木翔汰捕手(3年)の逆転サヨナラ打で京都国際を下して、1982年(昭57)の創部以来初となる春季近畿大会の決勝へと駒を進めた。

大阪王者の強さを見せた。1点ビハインドの9回1死二、三塁。代打の松木が右打席に入った。カウント1-1からの直球を振り抜くと、打球は左中間を破った。二者が生還し、ヒーローは破顔。「僕が打って決めると思っていた。本当にうれしかった。サヨナラ打は記憶にない」と試合後も余韻に浸った。

横井一裕監督(48)も「バッティングではクリーンアップを打たせたいくらい。勝負強い。こちらの思い通りのバッティングで、彼の特徴が最後で出たので自信になってくれたら」とたたえた。

この春の公式戦はスタメン出場が0。「代打でも試合に出させてもらってうれしいですけど、正直なところ自分もスタメンで出たい気持ちがある。チームのために自分が代打でいさせてもらってるので、どういうふうに貢献できるかは考えている」とチームの勝利が最優先。ブルペン捕手としてもチームを支える大切な存在だ。

この試合ではヒーローだが、「最終的には自分が決めたんですけど、それまでキャリーが抑えてくれたり、いろんな選手が打ってくれた」と謙虚な姿勢を貫く。

先発のキャリー・パトリック・波也斗投手(3年)もチームのための投球だった。1点リードの9回に先頭の失策から逆転を許したが、続く1死二塁のピンチを0で抑えた。

「自分がミスすることがこの試合でも他の試合でもたくさんあった。そのときに周りがカバーしてくれたので、次は自分がカバーする番。ズルズルいくのではなくて、次の打者で勝負しようと思っていた」。

気持ちを切り替えて、直後のサヨナラ劇へとつなげた。横井監督も「キャリーが落ち着いて崩れずに投げきったのが、あの子の成長。ずっと感じている成長を今日も感じた」と目を細めた。

春の近畿大会では初の決勝進出で、大阪府予選の準決勝から4試合連続の1点差勝利。指揮官もしぶとさについて問われると「わからないですね…」と苦笑い。それでも「他人のために一生懸命頑張れるようになってきたのがあるかも」と成長を喜んだ。

決勝では智弁学園(奈良)と対戦する。