<高校野球三重大会:三重7-1高田>◇8日◇1回戦◇ドリームオーシャンスタジアム

「医者とプロ」を志すスーパー二刀流の高田(三重)の中山勝暁投手(3年)が1回戦で散った。最速150キロを誇る右腕は、夏の県V3を狙う三重の強力打線につかまり7失点した。

初回は圧倒したが、2回以降は我慢の連続だった。2回に失策がらみで逆転を許し、不運な当たりもあって失点を重ねた。だが、6回以降はフォームを修正して無失点。この日の最速は146キロで、足をつりながら8回を投げ切った。7回には二塁打を放ち、WBCの大谷のように両腕でベンチをあおり、反撃を促した。

「打たれたのは自分の失投。本当に充実した2年半でした。高田だったからここまで成長できた。この仲間に会えてよかった。感謝しかない」。声を震わせた。

注目の進路については、迷いなく明言した。「(プロ志望届を)出します。より高いレベルでやってみたい。プロを目指しながら、勉強もおろそかにせず過ごして、指名がなければ大学を受けます」と描いた。

NPB12球団の関係者も高校最後の熱投を見守った。オリックス谷口スカウトは「体があって、馬力がある。もう1つ変化球があれば勝負できるのでは」と素材に太鼓判を押した。今秋、ドラフト指名を受ける可能性は十分にある。一方で譲れない夢が医者の道。入学時より成績を上げ、希望する国立大医学部の合格ラインに達した。プロ入りできても、引退後に医学部に入るプランを持つ本気の挑戦。未来はまだまだ先がある。【柏原誠】