今秋のドラフト候補に挙がる幕張総合の最速151キロ右腕、早坂響(おと)投手(3年)が初めて夏の公式戦マウンドに立った。先発で6回を投げ2安打6奪三振、5四死球で6回コールド。完封で夏1勝を挙げた。

昨秋、捕手から投手に転向し、ぐんぐん成長。あっという間に151キロを記録し注目の的となった。「昨日から緊張して、今朝は朝ご飯も喉を通らなかった」と、周囲を取り巻く環境に心がついていかない。「緊張してるな~、緊張してるな~」。試合前は何度も口に出し気持ちを落ちつかせた。

初回、1死二塁のピンチを招くも中飛、投ゴロで打ち取り、ペースをつかんだ。「ブルペンでスライダーとカットボールが良かったので、少し多めに投げました」。暑さから真っすぐがシュートし、5回までに5四死球。6回には柳田大輔監督(40)から「たくさんの人が見に来ているのだから、もっとしっかり投げて来い!」と一喝されると、ギアが上がった。力強い真っすぐを中心に投げ込み、最後の打者を相手にこの日最速の148キロを記録。三振に仕留め、6回コールドで締めた。「最後の球が、指のかかりが良くて、伸びとか回転とか今日一番良かったです」。試合終了後、菊池大智捕手(3年)から「最後の球、エグかったよー」と声をかけられ、ニッコリ笑った。

早坂の登板を11球団25人のスカウトが視察。ヤクルトの小川ゼネラルマネジャーは「常時140キロが出ていた。能力的には十分。春から夏にかけ球が速くなったと聞いたので、そういう意味では将来性は非常に楽しみな投手ですね」と評価。ロッテの榎アマスカウトグループディレクターは「右打者への外のボールがいい。見るたびに投手らしくなっている。これから専門知識、トレーニングをしていけばどんどん伸びるでしょう」と期待した。

高校球児として、投手で迎える最初で最後の夏。「春とは球場の雰囲気も違っていて。今まで感じたことのないマウンドの雰囲気がありました。今日は失点なく勝てた。次の試合があるので良かったです」。早坂は今夏、世代最速の155キロを出すつもりだ。【保坂淑子】

◆早坂響(はやさか・おと)2005年(平17)7月26日生まれ、千葉県松戸市出身。小1から高塚新田ラークスで野球を始め、中学は松戸五中でプレー。幕張総合では1年秋から捕手、3年春は投手としてベンチ入り。50メートル6秒、目標とする選手は日本ハム伊藤大海。176センチ、68キロ。右投げ右打ち。家族は両親と姉。