<高校野球茨城大会:霞ケ浦12-0土浦三>◇13日◇2回戦◇JCOMスタジアム土浦

今秋のドラフト候補に挙がる霞ケ浦(茨城)の最速150キロ右腕・木村優人投手(3年)が、4回1安打、5奪三振で無失点と好投。打っても先制打&ソロ本塁打と、日米12球団計28人のスカウトが見つめる中、コールド発進に貢献した。兄2人が果たせなかった甲子園出場へ、最初の一歩を踏み出した。

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淡々と投げる姿はどこか余裕を感じさせた。木村は「7割くらいの力で投げました」と、余力を残しながら4回を1安打に抑えた。すらっと伸びた手足をしなやかに操り、この日は最速148キロを計測。5三振を奪った。「(自己評価は)70点です」と辛口も、DeNA稲嶺茂夫アマスカウトは「とにかく落ち着いていた。力感なくしっかりとコントロールできている。今年の高校生投手で上位のレベル」と高く評価し、ヤクルト橿渕聡スカウトグループデスクも「アウトローのコントロールをあれだけできる高校生はなかなかいない。高校トップレベルの選手」と評した。

夏の甲子園出場は木村家の悲願だ。3兄弟の長男で日本通運の翔大内野手(24)と、次男瑛二さん(22)は同校野球部出身。ともに3年夏は土浦日大に敗れ、聖地への切符を逃した。父信彦さん(47)は「長男の時は決勝、次男の時は準決勝で負けた。ここ数年間、勝てていないので悲願だと思います」と、末っ子に期待をかける。「(寮から)実家に帰ってくるたびに身体、言動含めて成長している」とわが子の大人びた姿に甲子園の気配を感じている。

プロ注目右腕は「野球を始めたのも、霞ケ浦に入ろうと決めたのもお兄ちゃんの影響です」と、強い憧れを抱く。年末に帰省した際は、長男の翔大さんとキャッチボールをし、夢を語り合うこともあった。両校が勝ち進めば、土浦日大とは決勝でぶつかる。兄たちの夢は自分の夢。それをかなえるため静かな闘志で腕を振る。【村山玄】

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