九州国際大付が2-1で東筑を下し、2年連続9度目の優勝を飾った。高校通算31本塁打の佐倉侠史朗内野手(3年)は3打数1安打1四球。今大会はノーアーチながら打率4割3分5厘、4打点をマークし、主将としてもチームをけん引した。自身3度目の甲子園出場。世代最強打者の花巻東(岩手)佐々木麟太郎(3年)ら、強者との対戦に闘志を燃やした。選手権大会は8月3日に組み合わせ抽選が行われ、同6日に開幕する。

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出場135チーム「戦国福岡」の頂点に立ったのは九州国際大付だった。1点差の9回2死。最後の打者の右飛を一塁から見届けた佐倉主将は右こぶしを突き上げたまま、歓喜の輪へと飛び込んだ。こみ上げそうなうれし涙も「甲子園での戦いがある。まだ終わっていない」とグッとこらえ、笑顔で仲間とともに勝利の喜びに浸った。「ここまでの苦しかったことが一気によみがえってきて、泣きそうになった。チーム全体で勝ち切れた」。184センチ、101キロの大型スラッガーは分厚い胸板を張った。

夏連覇への道のりは厳しかった。昨秋の県大会で初戦敗退とチームはどん底に沈み、春も8強止まり。満足できる結果ではなかった。佐倉は主将としてのふがいなさ、やるせなさを隠せなかった。1年春からベンチ入りしたこともあって周囲の期待も大きく、周囲からの容赦ない厳しい声もあった。「しんどかった。メンタルがやられていた時もあった」と振り返る。

理想とするリーダー像を追い続けた。1学年上の巨人・浅野翔吾。昨夏の甲子園3回戦。当時3年の浅野擁する高松商(香川)に1-2で競り負け、佐倉は強いチームを率いる主将のオーラを肌で感じた。「浅野さんがチームを引っ張っていた。声かけであったり、すごかった。自分もマネをしていこうと思った」。今大会、佐倉は「顔を上げろよ!」と何度も仲間を鼓舞した。4番として0本塁打もチーム最多10安打でつなぎ役に徹した。決勝の3回の2点目は佐倉からだ。2死走者なしで四球を選び、続く白井賢太郎外野手(3年)の適時二塁打で長躯生還した。チームの勝利を最優先させる主将がいた。

高校通算31本塁打を誇る九州NO・1スラッガーが2年連続の夏の甲子園に向かう。今年は歴代最多140発の佐々木擁する花巻東も出場する。同じ左の強打者に、佐倉は「140本…。ありえない数字。自分とレベルが違い過ぎる。でも、自分たちも日本一を目指してる。そういうチームを倒していかないといけない」と闘志を燃やした。自身3度目の聖地で「九国の佐倉」がひと暴れする。【佐藤究】

○…5連投の九州国際大付エース左腕・田端竜也投手(2年)が4試合連続完投で締めくくった。9回を2安打1失点、7奪三振。最速137キロ直球に左打者にはチェンジアップ、右打者へスライダーを織り交ぜ、5回以降は無安打で二塁を踏ませなかった。「肩は張っていなかった。今日も最初から最後まで投げるつもりだったので良かったです」と笑顔だった。

◆佐倉侠史朗(さくら・きょうしろう)2005年(平17)11月3日生まれ、福岡県久留米市出身。小1の時に軟式「宮ノ陣フラワーズ」で野球を始め、宮ノ陣中では硬式「球道ベースボールクラブ」所属。九州国際大付では1年春からすでにベンチ入り。高校通算31本塁打。憧れはヤクルト村上宗隆。184センチ、101キロ。右投げ左打ち。

◆九州国際大付 1958年(昭33)に八幡大付として創立の私立校。89年から現校名。普通科のみで生徒数は1624人(女子727人)。野球部は58年創部で部員59人。甲子園出場は春3度、夏は9度目。過去最高成績は11年春に準優勝。主な卒業生は広島三好匠、日本ハム清水優心ら。所在地は北九州八幡東区枝光5の9の1。奥永哲二校長。

◆Vへの足跡

2回戦8-1嘉穂総合

3回戦10-0門司大翔館

4回戦11-1三池工

5回戦2-1久留米商

準々決勝4-1祐誠

準決勝4-3大牟田

決勝2-1東筑

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