神村学園がおかやま山陽を終盤に突き放し、夏の甲子園で初の4強に進んだ。

立役者は4番正林だ。0-0の8回1死一、三塁。「もう、思い切っていくだけ」。初球の真ん中高め直球を引っ張り、右前へ先制タイムリー。一塁塁上で右こぶしを突き上げた。「試合の流れを変えるのが4番打者。やっと1点入って良かった」。均衡を破る主軸の一打を皮切りにこの回、長短3安打を集めて5得点。9回の1点でダメを押した。

「全国優勝」を掲げる友が身近にいる。正林が在籍するクラスは野球部、サッカー部の生徒のみで25人。サッカーU-17日本代表で、優勝したU-17アジア杯でMVPに選ばれたFW名和田我空(がく)はクラスメートだ。今大会前には「野球部は甲子園優勝、サッカー部は冬の選手権優勝」と互いの健闘を誓い合った。正林は「サッカー部には負けられない。まずは野球部が優勝する」と先に頂点の景色を見るつもりだ。

初の準決勝にも浮かれる様子はない。「目の前の1試合に集中してやっていきたい」と足元を見つめ、鹿児島県勢の悲願、夏の甲子園初優勝へ突き進んでいく。【佐藤究】