今夏甲子園出場のノースアジア大明桜が大曲に1-0で競り勝ち、2年連続4強入り。松橋裕次郎投手(2年)が毎回16奪三振の好投で公式戦初完封した。金足農は延長10回タイブレークの末、本荘に3-2でサヨナラ勝ちで4強に駒を進めた。

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夏の甲子園のマウンドを経験した松橋が、この日も「奪三振ショー」を演じた。3回戦の湯沢翔北戦は8回2/3で157球を投げ、無安打18奪三振1失点(自責0)。それから1週間。1回無死二、三塁と、いきなりピンチを背負ったが、2者連続三振と投ゴロで切り抜けた。4回2死からは4者連続三振を奪い、5回に水沢悠樹内野手(1年)が先制中前適時打。左腕は勝利のために燃えた。

「1点を取ってくれたので、自分が守って投げきる思いがあった。1球に集中して自信のある真っすぐを投げ込もうと思った」

最速140キロの直球とスライダーを軸に投げ込み、終わってみれば3安打16奪三振無失点の快投。四死球を前回の「5」から「3」に減らしたものの、輿石重弘監督(60)は「まだボールが多い。打たせて取れば、もっと楽なピッチングができる」と期待を寄せた。

甲子園2回戦の八戸学院光星(青森)戦で先発し5回途中3失点。0-7で敗退した。しかし、今大会は2試合で17回2/3を投げ、34奪三振と圧倒。「去年は先輩方に助けてもらって、自分が引っ張られているピッチングだった。新チームになって自分が引っ張る立場になった」と自覚が深まった。

責任感を持ち、勝つためのピッチングがチームを2年連続で準決勝に導いた。次戦は29日、秋田修英-大館桂桜の勝者と戦う。「失点は最小限にして、チームの勝ちにこだわって投げたい」。最善の準備を経て、東北大会と決勝の切符をつかみにいく。【相沢孔志】

 

○…金足農が14年ぶりの東北大会出場にあと1勝とした。2点を追う4回から救援登板した吉田大輝投手(1年)は「仲間が点を取ってくれると信じ、絶対に抑える気持ちで頑張った」。走者を出しても守備陣に助けられ、7回に2点適時失策で同点に追いついた。延長10回タイブレーク無死一、二塁を抑え、同裏無死満塁から四球でサヨナラ勝ち。7回無失点のエースを、中泉一豊監督(51)は「ロングリリーフになったが、彼らしさは十分出た。気持ちが入ったピッチングだった」と評価した。