高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)のプロ注目スラッガー、佐々木麟太郎内野手(3年)が進路を「プロ入り」と「米国の大学留学」の2択に絞ったことが3日、分かった。国内の強豪大学や獲得を希望したメジャー球団には断りを入れたとみられる。今後は同校での最後の公式戦となる鹿児島国体(8日開幕)に出場予定。26日のドラフト会議は約3週間後に迫り、12日がプロ志望届の提出期限。その決断に注目が集まる。

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佐々木麟に決断の時が近づいてきた。球界関係者によると、進路を「プロ入り」と「米国の大学留学」の2択に絞ったことが判明。8月19日の甲子園準々決勝で仙台育英(宮城)に敗れた直後、進路を問われると「今後に関しては岩手に戻ってからゆっくり決めたい」と明言しなかったが、まもなく結論を出すことになる。

9月には10日間ほど渡米し、名門バンダービルト大を含む複数の大学とメジャー球団の施設を見学。一方、プロ側からも将来の大砲候補として熱視線を浴び、ドラフト会議に向けた調査書はNPB12球団から届いた模様だ。

佐々木麟の最終目標は花巻東OBのブルージェイズ菊池、エンゼルス大谷のようにメジャーリーグで活躍し、世界一のホームランバッターになることだ。2人は高卒でプロ入りし、菊池は西武で9年、大谷は日本ハムで5年プレー。日本で実績を残した上で海を渡った。尊敬する先輩と同じ道を歩むのは夢への最短ルートとも言える。

米国の大学に進むメリットもある。言語を含む環境面で早期に適応し、メジャーを目指す「金の卵」たちと切磋琢磨(せっさたくま)して「メジャー基準」をいち早く体感。20代前半での最高峰挑戦も開けてくる。「道なき道を進め」という言葉を大事にする佐々木麟らしい選択でもある。

また高校入学直後から通算本塁打数が枕ことばとして注目され、ネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けることもあった。父である佐々木洋監督(48)は静かな環境で伸び伸びと野球をやらせたいという意向があるとみられ、あえて日本ではなく、米国の大学進学を選択肢に残したと考えられる。

「さらにレベルの高いプレーヤーになりたい」というのが佐々木麟の思いだ。プロ志望届提出のタイムリミットは12日。プロか、米国留学か-。自らの信念を貫き、決断する。

◆日本の高校から米国に進学した主な選手 「松坂世代」の坂本充外野手(九産大九州)は99年3月卒業後、インディアンヒルズ短大に進学。アリゾナウエスタン短大に編入後、02年ドラフトでロッキーズから24巡目に指名された。駒大苫小牧時代に田中将大(現楽天)と同学年だった鷲谷修也外野手は、卒業後の07年秋にデザート短大へ入学。08、09年に2年続けてドラフト指名を受けた。西田陸浮内野手(東北)はマウントフッド・コミュニティーカレッジからオレゴン大に編入し、今年7月のドラフトでホワイトソックスから11巡目で指名された。

◆佐々木麟太郎(ささき・りんたろう)2005年(平17)4月18日生まれ、岩手県北上市出身。幼少時から江釣子(えづりこ)スポーツ少年団で野球を始め、江釣子中時代は大谷翔平(エンゼルス)の父・徹さんが監督の金ケ崎リトルシニアでプレー。父の佐々木洋監督(48)が指揮する花巻東では1年春からベンチ入り。甲子園には2度出場し、2年センバツで初戦敗退、今夏は8強。184センチ、113キロ。右投げ左打ち。家族は両親と妹。