札幌地区で、北星学園大付が7-0の7回コールドで札幌創成を下し、14年ぶり3度目の全道出場を決めた。

190センチの右腕、石田充冴(じゅうざ、2年)が3安打の完封。同校コーチを務め、旭川龍谷で91年の春甲子園に出場した父威仁(たけひと)氏(49)が見守る中、快投を披露した。ほか東海大札幌、札幌大谷が勝ち、18日から札幌ドームで初開催の全道出場20校が出そろった。11日に組み合わせ抽選が行われる。

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尊敬する父に追いつき、追い越すため、石田は懸命に右腕を振った。190センチから投げ下ろす最速139キロの直球で詰まらせ、21個のアウトを積み重ねた。チームを14年ぶりの全道に導いたエースが「他の人ができないことに挑戦した父を越えるためにも、まずはみんなと甲子園に行きたい」と表情を引き締めた。

父威仁氏は旭川龍谷で91年春甲子園に出場。大学卒業後、大リーグを夢見て単身渡米した。毎日ハンバーガーかサンドイッチの昼食が続く過酷な環境の独立リーグやフィリーズ1Aに3シーズン身を置き、のちのメジャー選手たちとしのぎを削った。「学んだことは多かった」と話す威仁氏を、石田は敬う。

小1で野球を始めた石田は、父が米国で学んだすべての技術・知識を受け継いだ。強く、大きな体を作るため、毎食ごと牛乳を飲み、キムチやヨーグルトなどの発酵食品を食べた。中学入学時に160センチ台だった体が卒業時には187センチに成長。高校入学後、半年で190センチに到達した。球速も128キロから10キロ以上アップ。今秋の地区予選は日本ハム、西武、巨人のスカウトが投球を見つめた。

名は漫画「北斗の拳」に登場するジュウザに由来する。仲間を救うために恐れず強敵に挑むキャラに、父が未来の息子の姿を重ねた。「毎試合何か1つ挑戦できる選手になってほしい。今日はプレートを踏む位置を変え、クロスのストレートを投げていた」と目尻を下げた。石田は「来年の夏には155キロが投げたい。目標は佐々木朗希選手」。まずは父も経験できなかった札幌ドームで、頂点を目指す。【中島洋尚】