星稜(石川)が被災した地元に白星を届けた。第96回選抜高校野球大会が18日に甲子園で開幕。21世紀枠の田辺(和歌山)との1回戦で、同点の9回、背番号20の代打東汰生(ひがし・たいせい)外野手が右前に2点適時打を放った。公式戦初打席初ヒットが値千金の決勝打。能登半島地震により被災を経験した伏兵が、初の大舞台で光り輝いた。

星稜の山下智将監督が、甲子園初勝利を手にした。山下智茂名誉監督(79)の長男で、監督代行を経て昨年4月に監督に就任。同年夏の甲子園では初戦で創成館(長崎)に3-6で敗れていた。21世紀枠の田辺に2度追いつかれながらも9回に勝ち越しを決めた。指揮官は「甲子園で勝つのは非常に難しい。田辺さんも非常に粘り強かったですけど、うちの生徒も最後まで粘ってよく頑張ってくれた」とねぎらった。

■星稜・山下智茂名誉監督(星稜の2回戦進出について)「地震の影響でしばらく練習ができない中、自主練習を続けた部員の姿を見て感動しました。山下智将監督も苦しみながら甲子園初勝利。震災で自校グラウンドがひび割れ、グラウンド整備をしながらの指導でしたが、これでホッとしているのではないでしょうか」

◆監督の父子勝利 星稜・山下智将監督(42)が甲子園通算3試合目(監督代行1試合を含む)で初勝利。父智茂さん(元星稜監督)は通算22勝している。主な監督の父子勝利は浦和学院で通算28勝した森士監督の息子、森大監督が3勝などの例があり、今大会では阿南光・高橋徳監督も父広監督(鳴門工で12勝)に続く勝利を目指す。