報徳学園(兵庫)がダブルエースの必勝リレーで逃げ切り、2年連続のセンバツ決勝進出を決めた。中央学院(千葉)との準決勝に先発した間木歩主将(3年)が9回2死まで2失点でしのぎ、最後は今朝丸裕喜投手(3年)が締めた。大角健二監督(43)は節目の甲子園10勝。星稜(石川)は高崎健康福祉大高崎(群馬)に逆転負けを喫し、4強で聖地を去った。決勝は31日午後0時30分から行われる。

報徳学園が執念の継投で22年ぶりの優勝に王手をかけた。2点リードの9回2死二、三塁。先発で117球を投げ完投目前の間木から、最速151キロ右腕の今朝丸にスイッチ。大角健二監督(43)が「勝負にこだわった形」で、2球で左飛に打ち取り、逃げ切った。

メンタル強化に力を入れて臨んだ今大会。ひょうひょうと投げる今朝丸にとって、最高潮の緊張感で迎えたマウンド。「最後の9回、あと1人の場面で『絶対俺に任せろ』という気持ちで投げて、結果につながってくれてよかった」と動じなかった。間木は交代した場面で「くっそー」と嘆いた。「悔しいっていう一言。流れが変わってしまうかもしれない場面で他の人に渡してしまうのは、ピッチャーとしてやってはいけないこと。本当に悔しい思いでいっぱいでした。最後まで投げきれなかった悔しい思いの中で、チームを勝ちに導けたのはよかった」。競い合う2人の姿が原動力だ。

昨年は準決勝で大阪桐蔭に勝利。その余韻に浸り、山梨学院との決勝で敗戦した。今大会も準々決勝で大阪桐蔭を再び撃破し、指揮官は「今できることに集中しよう。ここまで来たら1つの試合に一喜一憂している場合じゃない」とナインに語りかけていた。気持ちの切り替えに成功し、同校春40勝と大角監督の甲子園10勝をダブルで達成。「あくまでも数字。それよりもこのチームを1つでも多く勝たせたい。結果はどっちでもいいです。うちらしい守り勝つ野球をしたい」。決勝で昨年のリベンジを果たす。【中島麗】

◆前年準優勝校の決勝進出 昨年決勝で山梨学院に敗れた報徳学園が決勝進出。センバツで準優勝の翌年に決勝進出は05年愛工大名電以来8度目。過去7度は6勝1敗と雪辱Vが目立ち、前年準V校の6連勝中。

◆報徳学園は長打1本 報徳学園はここまで4試合で計36安打のうち、長打は安井の二塁打1本だけ。75年の金属バット採用後、優勝校の最少長打は78年浜松商の4本(二塁打、三塁打が各2本)だが、塗り替える可能性もある。両チームとも本塁打はなく、春のノーアーチVなら01年常総学院以来になる。