高崎健康福祉大高崎(群馬)が初優勝した。主将としてまとめ上げた箱山遥人主将(3年)の目も赤くなった。

強肩強打の捕手として、大会前から注目された。それだけでは済まない。1月、館山合宿で話していた。「選手宣誓して優勝インタビューして、自分の大会ではないですけど、自分が主役になれるような大会にしたいです」。選手宣誓は抽選に当たらなかったが、それ以外は有言実行した。

背中で引っ張るキャプテンが増えている中、箱山は声と気合でも引っ張っていくタイプだ。勝ちたいから惰性にはしない。

「近年は、フレッシュに冷静に爽やかに。悪く言えばスカした、勝負ごとにこだわれていないチームだったので、そこは感じていたところです」

真っ正面から向き合って、かつて“スーパー中学生”と言われたチームメートをまとめ上げた。

秋の地区予選でいきなり敗れ「史上最弱」とまで言われた。頭を五厘刈りにすることを周囲に提案した。気持ちをそろえた。

「五厘刈りであったり、昭和の執念であったり、泥臭く野球をするという根性論を自分たちは大切にしようとしてやってきて」

昨夏は頭を丸めない慶応(神奈川)が優勝し、話題になった。箱山はその風潮にも疑問を呈した。

「髪が長い学校でも優勝できることを証明したと思うんですけど、髪の毛は関係ないというか。多様性が重視されている中で、髪の毛は何でもいいんだと。自分たちは五厘刈りで臨んで優勝できたので、そこは関係ないと証明できたと思います」

みんな違って、みんないい。初優勝の中心には、視野広く頼もしいキャプテンがいた。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

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