高崎健康福祉大高崎(群馬)の初優勝が決まっての取材ルームで、金メダルをうれしそうに眺めている選手がいた。

センターを守る佐々木貫汰選手(3年)だ。両手で持って、隅々まで見ている。「いやぁ、本当に優勝した実感っていうのはまだないんですけど、これを見たら優勝したんだなって、なんか少しずつ」。

優勝の瞬間は右手を上げ、マウンド上の歓喜の輪に最後に飛び込んだ。「今までたくさん苦しかったことがあってこその結果だな、って思って」。

1点リードするも、なかなか動かない試合。「流れが良くない中で、自分がなんとか先頭で出ようと」。得意のセーフティーバントを仕掛け、見事に出塁。後続が倒れ「得点にはつながらなかったですけど」と苦笑いしたものの、その攻める姿勢、何かを変えようとする姿勢が、チームを防戦にしなかった。

高校野球はこれじゃ終わらない。「ここで終わるんじゃなくて、春夏連覇の権利があるのは僕たちだけだと思うので」と小柄な体でちょっと胸を張った。金メダルはもう1個あってもいい。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。