178球の熱投は実らなかった。注目の右腕、熊谷商・中村謙吾投手(3年)が初戦で姿を消した。

武蔵越生・大野敦士投手(3年)との好投手対決。9回を終えて両軍無得点と白熱の投手戦になったが、タイブレークの延長10回に力尽きた。2死満塁から相手の代打に外角の直球をはじき返され、打球は無情にも右中間に落ちた。がっくりとうなだれ、しばらく動けなかった。「主将としてもエースとしてもふがいなかった」。涙が止まらなかった。

「あいつだけには負けたくなかった」。相手エースの大野とは中学時代、選抜チームのライオンズジュニアユースでともに戦い、特に仲が良かった。対戦が決まるとLINEで「エース対決になるね」「絶対に負けない」と連絡を取り合った。試合は互いの意地がぶつかり合う壮絶な投げ合いとなったが、中村が1歩及ばなかった。

「公立校から甲子園へ」という入学当初からの夢は初戦でついえた。それでも「大野には『任せた』と伝えたい。自信を持って、自分たちの思いを受け継いで頑張ってもらいたい」とエールを送る。果たせなかった夢を、投げ合った友に託した。【野見山拓樹】

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