春の全国を制した健大高崎(群馬)は夏も強い!。前橋育英との群馬大会準決勝、9回表に箱山遥人捕手(3年)の場外弾などで6点のリードを奪うも、その裏に追いつかれた。なおも無死満塁とサヨナラ負け目前の崖っぷちから、タイブレークを経て9-8で勝ちきった。力量はもちろん、圧倒的なベンチが勝利へ導いた。絶体絶命から絶対王者へ-。27日予定の決勝に全てをぶつける。
健大高崎ベンチから熱気があふれた。8回、森山竜之輔内野手(3年)が2球で追い込まれた。3球目はボール。中学からの球友・箱山が大声で叫ぶ。「頑張れ」や「おまえなら打てる」ではない。
「おまえ、絶対ここから出ろ!! 引いたら負けなんだよ!!」
森山は死球になり、森山もベンチ全員も思いきり叫んだ。打席ではボール1球ごと、守備ではアウト1つごとに全員が燃える。特に先頭を行くのは箱山や森山であり、左腕投手としてのベンチ入りは逃したものの記録員を務める高木壮磨(3年)である。「僕の役割はそれ。自分が沈んだら終わり」。恥じらう選手は誰ひとりいない。そこが強さとも言える。
3塁コーチャーの金井俐樹捕手(3年)が相手ベンチの声量に負けると、「金井、負けてんぞ!!」と箱山がゲキ。その金井は運命のタイブレークに入る前「スタンド、頼むぞ!!」と指を向け、そのスタンドは周囲へ「力を貸してください」と書いた紙を示す。それぞれが四方に視線を向け、夏を制すエネルギーを作る。
9回裏、同点にされなおも無死満塁。絶体絶命。背番号13の岸野祥大外野手(3年)が「守ってるヤツら、笑顔で行こうよ!!」と叫んだ。全員が肩を組んだ前橋育英ベンチも強かったが、それさえ耐えた。引いたら負け。場外弾をかっ飛ばした箱山は「仲間を負けさせたくない思いが勝ち残るのに必要なエネルギー」とぶれない。燃える動機は名誉じゃない。「少しでもみんなと長く野球をやりたいから」。ここが統一されているから健大高崎は強い。【金子真仁】

