<高校野球・秋季東北大会:光星学院3-1聖光学院>◇12日◇準々決勝◇名取スポーツパーク愛島球場

 光星学院(青森)は最速145キロ右腕、下沖勇樹(2年)の好投で聖光学院(福島)に延長10回3-1で勝利。

 絶対に負けられない-。張り詰めた空気が、エースを緊急マウンドに押し上げた。0-0の3回2死一、三塁。先発の六埜雅司(2年)がカウント0-3としたところで、下沖がマウンドへ上がった。四球で歩かせるも、後続を断つ。さらに直後の4回の攻撃。2死から4番の小野寺翼一塁手(2年)が左ほおに死球を受け退場。これがナインの闘争心に火を付けた。

 病院に向かう際、金沢成奉監督(41)に「絶対に勝ってください」と話した小野寺。主将でもある下沖はこれを伝え聞き6回直前、仲間に伝えた。「みんな感動して、あそこで負けないという気持ちが1つになったと思う」と下沖。延長10回、荒井翔太捕手(2年)の右前適時打などで味方が3点を勝ち越した。その裏に1失点こそしたが、7回 1/3 のロングリリーフを5安打6奪三振に抑えた。

 下沖にとって、ライバルとの約束を果たす勝利でもあった。試合前、第1試合で勝った花巻東・菊池から「明日は勝負しような」と声をかけられていた。同じ岩手出身で1年時から親交のある菊池からのエール。「これで投げ合える。絶対に勝ってセンバツを決めたい」。雌雄を決するマウンドに、下沖が立つ。【由本裕貴】