<高校野球鹿児島大会:喜界3-0錦江湾>◇4日◇1回戦◇鴨池市民

 離島のナインに「甲子園流」注入だ。喜界が錦江湾を破り2年ぶりに初戦突破した。鹿児島商の監督として07年センバツへ導いた床次(とこなみ)隆志部長(43)が、4月に赴任。守備強化の効果で、エース松元翔太(3年)が完封勝利を決めた。

 新しくモデルチェンジした喜界が完封勝利で夏のスタートを切った。

 エース松元が8安打完封勝ち。3回以降は毎回走者を背負い、苦しい投球が続いた。それでも粘り強くゼロを並べられたのはバックの好守があったからだ。4回2死満塁のピンチでは外野の好返球で切り抜けるなど、堅い守備がエースを救った。松元は高校初の完封勝利を「調子悪かったけど、みんなが守ってくれたので抑えられました。みんなで取った完封です」と振り返った。

 就任30年目を迎えた久保正樹監督(65)は「この勝利はスタッフの力ですよ」と説明した。鹿児島商の前監督で4月に喜界に赴任した床次部長が、久保監督とともに練習を指導。鹿児島商を堅守を武器に07年センバツ出場に導いた経験を生かし、守備の強化に力を入れた。朝練からノックで野手を鍛え、ブルペンでは投手の指導もした。「床次部長に連係プレーなど細かいことを教わって野球の奥深さがわかりました」と久保潤平主将(3年)は「目からウロコ」の状態だ。

 ナインの目標は08年の8強を超えること。「今年はベスト4以上です」と久保潤主将は宣言した。喜界がこの夏の主役になる。【前田泰子】