<高校野球神奈川大会:桐光学園5-4桐蔭学園>◇28日◇準決勝

 桐光学園が桐蔭学園との「桐桐決戦」を1点差で制し、4年ぶりの決勝進出を決めた。3-3の6回裏1死二塁、4番の久保田佳内野手(3年)が右翼に2ランを放ち勝ち越し。春までは背番号1だった一塁手の1発で、4年ぶりの甲子園に王手をかけた。

 目の覚めるような1発だった。久保田の放った打球は快音とともに高い放物線を描き、横浜スタジアムの右翼席に飛び込んだ。カウント1ボール2ストライク。「追い込まれてからのフォークを狙ってました」としてやったりの表情を浮かべた。勝利を決定付けた一打に、4番打者としての自信であふれていた。

 今大会、18打数5安打ながら、2本塁打、チームトップタイの7打点と勝負強さを発揮している。父篤さん(48)は「エースを奪われて、正直悔しい思いもあったと思う。とにかく、感動しています」と感無量の面持ちだ。打力を付けるため、冬以降毎食2合以上食べる姿を見てきただけに、喜びもひとしおの様子だった。

 昨秋と今春の県大会で、背番号1をつけていた。「自分が『1』を背負って甲子園に行きたい、という気持ちが強かった」と本音をのぞかせるが、春以降に台頭してきた柏原史陽(3年)に奪われた。背番号は3。ライバルの力を認め、打撃に専念。「頑張って投げている柏原のためにも、打って楽にしてあげたい」と、フォア・ザ・チームの精神を強調する。

 決勝は昨秋と今春の県大会で敗れている横浜と対戦する。部屋には、春の4回戦で横浜・乙坂智主将(3年)に勝ち越し2ランを浴びた新聞記事の切り抜きが貼ってある。「この負けを、この悔しさを忘れない。みんなで甲子園に」と大きく書かれている。「横浜には2回負けているけど、最後は自分たちが勝って甲子園に行きたい」。並々ならぬ決意で、宿敵との決戦に臨む。