<全国高校野球選手権:聖光学院5-4日南学園>◇6日◇1回戦

 日南学園(宮崎)が惜しくも「金星」を逃した。プロ注目の歳内宏明投手(3年)を擁し優勝候補の聖光学院(福島)と延長戦までもつれ込む接戦を演じたが、10回に力尽きサヨナラ負け。それでもプロ注目の右腕から10安打4得点を挙げ、9回には2死から同点に追いつくなど4年ぶりの甲子園で底力を見せつけた。

 打球は無情にも右翼手の前で転がった。バックホームの送球はそれ、サヨナラの走者がホームイン。延長10回でサヨナラ負け。日南学園は熱戦の末の「金星」をつかむことはできなかった。

 先発古市から抑え村田へつなぐ「勝利の方程式」も甲子園では崩れた。宮崎大会で16イニング無失点に抑えていた村田が甲子園で4失点。この夏初失点で敗れ「古市もいい投球をしたし、野手のみんなもいい投手から点を取ってくれたので絶対に抑えてやると思っていた」と村田は試合後、立てないぐらいに号泣した。

 プロ注目の右腕歳内を相手に堂々とした戦いを見せた。鋭く落ちるSFF(スプリット・フィンガード・ファストボール)を武器にする歳内を攻略。打席の後ろに立って球を見きわめ、引きつけて打つことを徹底した。カウントを取る直球と高めに入ったSFFを狙い、3回には3連打で2点を先制。9回は2連打で相手バッテリーを追いつめバッテリーミスで2死から同点に追いついた。16三振は取られたが「野球は三振を取る競技じゃない。27三振でも相手より点が多ければ勝つんだ」という金川豪一郎監督(34)の言葉に励まされ、三振を恐れずに思い切りバットを振った。

 冬は新燃岳噴火で降灰に見舞われ、マスクをつけて練習した時期もあった。春の初戦敗退からはい上がったナインは、接戦を乗り越えて甲子園に出場。大舞台で優勝候補と五分以上の戦いをした。「甲子園で戦うためには技術も体力もレベルアップしなければ」と金川監督は課題を挙げた。この日の悔しさを、これからさらに強くなるための糧にしていく。【前田泰子】