<高校野球東東京大会:修徳5-0篠崎>◇9日◇1回戦◇大田スタジアム

 昨夏のリベンジに向け、東東京大会のノーシード校修徳が好発進した。勝負強さを買われ、エースに代わって先発した背番号4の岩谷淳投手(3年)が篠崎を散発3安打で完封した。奪三振10。打っても初回、5番で先制適時打を放った。主将も任される「投打二刀流」選手は、昨年の準々決勝で0-8と完敗した帝京戦に向けて早くも全開だ。11日の2回戦(対新宿)に勝てば、13日には望む前年覇者・帝京が待ち受ける。

 岩谷には、昨秋以来のマウンドだった。初回。ストライクが入らない。先頭打者にストレートの四球。2番に対した6球目がやっとストライクとなり、その直後にけん制球で走者を刺した。岩谷は「けん制は得意なんです。あれから乗っていけました」と話した。

 わずか98球、1時間35分で初戦を終えた。自己最速は137キロ。その速球に、カーブ、スライダーを織りまぜた。5回1死まで無安打投球。フォークとチェンジアップは使う必要がなかった。阿保暢彦監督(39)は「初戦が一番難しい。岩谷は昨夏も投げているし、確実にやってくれる子なんで」と起用を説明した。

 2週間前の投球練習を始めたが、もともと投手兼内野手だった。小学時代は軟式野球で都大会2連覇している。プロ12球団は05年にジュニアチームをつくり、毎年12月にトーナメント大会を行うが、岩谷は巨人の一員だった。「高田繁コーチ(現DeNA・GM)にボールは線で捉えて打ちなさいと教わりました」と当時を思い出す。横浜・青木、二松学舎・石田らがメンバーで、今はライバルとして甲子園を目指す。

 もっとも、岩谷の頭には今、打倒帝京しかない。阿保監督は「ウチに勝ち目があるとしたら、帝京の初戦しかない。そのクジを引き当てた。楽しみです」。昨年の帝京戦では、背番号11の岩谷に出番はなかった。「勝てるならどこでもやります。自信はあります」。ポジションにこだわりはない。望むのは帝京を倒しての甲子園だ。【米谷輝昭】

 ◆岩谷淳(いわや・じゅん)1994年(平6)8月29日生まれ。東京・葛飾区出身。小学1年で野球を始め、木根川レッズに所属。5、6年時には都大会2連勝した。ジュニア巨人では、1番・遊撃手で準優勝。亀有中から修徳に進み、1年秋から背番号11でベンチ入り。昨秋からレギュラーとなり、背番号は6→3→4と移った。175センチ、81キロ。右投げ右打ち。