<高校野球静岡大会:日大三島2-1掛川東>◇16日◇2回戦◇焼津

 日大三島の大魔神は黄金ルーキーだ。1点リードの5回から登板した小沢(こざわ)拓馬投手(1年)が2安打無失点で逃げ切った。昨年夏の中学硬式野球日本一投手で、1回戦の清水西戦の2イニングに続く好救援で逸材ぶりを発揮した。

 5回までに日大三島が奪ったリードは1点。今大会初先発の佐伯勇斗投手(2年)は重圧からか、球威が落ちるのが普段より早かった。川口剛監督(34)は初戦の清水西戦、4点リードの8回からに続き、迷いなく小沢をマウンドに送った。「勝負どころで力を発揮する子。そこを買ってメンバーに入れている。いつも通りやってくれれば大丈夫だと思った」。

 173センチ、94キロの力強い体格。その右腕から放つボールも力強い。5回を3者凡退に仕留める。6回は1死から二塁打を浴び、7回にも2死から内野の悪送球で得点圏にランナーを背負った。だが、ここからが真骨頂。昨年夏、静岡裾野シニアのエースとして日本選手権で5連投4完投で4失点のV腕はピンチにめっぽう強い。初戦での経験も生きた。「ピンチを抑えれば相手の勢いはなくなるし、逆に自分たちに流れがくる。自然と力も入るし、一番気持ちいい瞬間。今日は変化球が良くなかったので、真っすぐでいきました」。冷静に自分を分析できるクレバーな投球術も加わり、直球主体で掛川東に反撃の糸口をつかませなかった。

 56球を投げ、2試合連続、7イニングを無失点。試合後、ウイニングボールを左手に握りながら「甲子園に出て優勝するぐらいの気持ちでやる。3回戦の浜松工戦も、投げたらスコアボードに0を刻みたい」と言った。入学から3カ月半のあどけない笑顔とは正反対の言葉を言い放つ。ただし、今は少々ウエートオーバー。投げ込み、走り込めば、まだキレる。23年ぶりの甲子園へ、1年生守護神が休む暇はない。【前田和哉】