<全国高校野球選手権:仙台育英6-3飯塚>◇15日◇2回戦

 飯塚(福岡)が仙台育英(宮城)に敗れ、初の3回戦進出を果たせなかった。1回に3点を先制したが、この夏初先発の西俊彦投手(3年)が3回1/3を投げ、6失点で降板した。もっとも、公式戦初登板の2番手・野田圭祐投手(2年)が3回2/3を投げ、1安打無失点。敗戦の中でも「次代のエース」が来年につながる好投を見せた。

 初めての甲子園は投げていて気持ち良かった。4回1死二塁、背番号17をつけた野田が登板。公式戦初登板の2年生右腕が、それまで6点を挙げていた仙台育英打線の勢いを止めた。3回2/3を投げ、1安打無失点。「攻める気持ちで投げられた。持っている力を出せました」。思い切りの良い投球で、最高の公式戦デビューを飾った。

 ここまでとは真逆の継投で勝負をかけた。福岡北部大会から抑えだった西を先発に、先発の古賀を抑えに回した。慣れない先発で西が6失点。打線は1回に3点を先制したが、すぐに相手に流れを持って行かれた。2回に本塁打を許してペースを失った西は「内も外もファウルを打たれて、どこへ投げていいかわからなくなった」と振り返った。

 チームの苦境を救ったのが野田だった。「頼んだぞ」。西からバトンを受け、見事に火消し役を果たし、8回から古賀へつないだ。「相手打線は怖いとは思わなかった。3年生のために投げようと思いました」と気持ちが入っていた。

 野田はこの夏初めて公式戦でベンチ入りした。「気持ちの弱かった自分を、西さんと古賀さんに支えてもらいました」。2人の先輩からトレーニングや投球でアドバイスを受け、多くのことを学んだ。小学生から同じチームだった北野主将は「安心して見ていられました。これからもっと成長すると思います」と新エースの野田に夢を託した。

 捕手の堀をはじめ、スタメン中4人が2年生だ。「もう1度戻ってきて投げたい。3年生の分まで勝ちます」と野田は誓った。再び、甲子園へ。後輩たちが新たなスタートを切る。【前田泰子】