起こすぞ、公立旋風!

 第96回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)を目指す南・北北海道大会の組み合わせが10日、決まった。南大会(17日開幕、札幌円山)では、南北分離後初出場となる浦河が、開幕試合で札幌北陵と対戦する。この両校を含め、公立8校が出場。公立が私立を上回るのは13年ぶりで、00年札幌南以来の公立校Vを狙う。

 札幌市内のホテルで行われた組み合わせ抽選会。浦河の沢口友亮(ゆうすけ)主将(3年)が引いたクジは、開幕戦だった。「第1試合で戦えるなんて、うれしい」と言葉を弾ませ「あと4回勝てば、ずっとテレビで見ていた甲子園に行けるんですね…」と、不思議そうな顔でトーナメント表を見渡した。

 夏は60年ぶりの道大会出場、南北分離後は初とあって、馬産地で有名な人口約1万3000人の小さな町は、明るい話題に沸いている。町役場には応援用の垂れ幕が架けられ、野球部に飲料水などを差し入れてくれる住民も。吉田健作監督(33)は「小さな子どもを連れて練習見学に来てくれる方もいて、うれしい」。強豪ひしめく室蘭地区を勝ち抜き、南大会代表に決まってから12日。町の期待を背に「道大会では打たないと勝てない」(沢口主将)と、打撃に磨きをかけてきた。

 南大会では浦河をはじめ15代表中8校を公立が占め、13年ぶりに私立を上回った。さらに、浦河が飛び込んだゾーンは7校中6校が公立と、組み合わせも大きく偏っている。

 南北海道では、00年札幌南を最後に、公立校の甲子園出場がない。「どこの公立校も一生懸命やっている。負けないように、頑張ります。1勝して、甲子園まで勝ち進んでいきたい」と沢口主将。遠かったようで、今は、近くに見える夢舞台へ。今大会のダークホース。公立旋風の、主役になれるか。【中島宙恵】

 ◆夏季北海道大会の公立校・私立校の優勝回数

 南北分離前(48~58年)の優勝は公立校5度、私立校6度とほぼ互角。59年の分離後は、南大会が公立校6度、私立校49度と私学が圧倒し、北大会は公立校33度、私立校22度となっている。