<高校野球岩手大会:宮古商6-1山田>◇17日◇3回戦◇花巻球場

 三陸のドクターK、山田・大釈亮投手(3年)の夏が終わった。8回を投げ終え10奪三振も、9安打6失点と打ち込まれた。183センチ、77キロの恵まれた体格を生かし、130キロ中盤の威力あるストレートを投げ込む県内屈指の左腕。2年だった昨夏の大東戦で14三振を奪い、公式戦初完投。今年も初戦で遠野から14奪三振。夏に強い、はずだった。

 1回に自らの内野安打で1点先制。だが4回裏、1死満塁から相手1番打者にタイムリーを打たれ逆転を許した。マウンドにみんなが集まる。「悔しいけど、自分が不安な表情をしたらダメだ」と、白い歯を見せ笑顔で声をかけ合った。それでも力んで球が上ずった。この回、6点を失った。

 エースで主将で4番。チームが勝てず「自分でいいのかな」と悩んだ時期もあったが「楽しんでやろう」とトレードマークの笑顔でチームを引っ張ってきた。宮古商の校歌を聞く間、何度も腕で目元を拭った。「自分が打たれて負けたので悔しい。もうこの仲間と出来ないと思うとすごく寂しい」。3年間の思いが詰まった涙が、止まらなかった。【高場泉穂】