日大鶴ケ丘(西東京)が、体育館での“エア野球”で出陣だ。台風11号の影響で、史上初めて開幕日から2日間順延となった第96回全国高校野球選手権大会が今日11日、開幕する。第3試合で富山商と対戦する日大鶴ケ丘は10日、当初予定していた兵庫・宝塚市内の室内練習場が水没したため、急きょ宿舎近くの体育館を確保。硬式ボールもスパイクも使えない中、イメージトレーニング重視の“エア打撃”“エア投球”などで最終調整を終えた。

 静まりかえった体育館に、バットスイングの音が響く。投手はタオルを手にシャドーピッチング。1時間半の練習の終盤、15分間の“エア野球”が始まった。富山商エースは146キロ左腕の森田駿哉投手(3年)。萩生田博美監督(41)は「昨日、一昨日と映像を見たので、左ピッチャーを想定してスイングさせました」と言う。金井浩太朗主将(3年)は投手役に球の高低、球種を指定。もちろんボールはないが「甲子園の土の匂いもイメージして振りました。ほとんど柵越えでした」と豪快に笑った。

 当初予定していた練習場は水没し、道中も通行止めになった。10件以上当たったが代替施設は見つからず、偶然剣道大会が中止になった体育館が空いていた。最後は、元幕下力士「琴乃島」を父に持つ幾島康平内野手(3年)が毎試合前に行う儀式、上下に胸を激しく揺らす「乳踊り」を披露。こちらも必ず試合前に行う、リポビタンDでの“エア乾杯”で締めた。