<全国高校野球選手権:星稜5-4静岡>◇12日◇1回戦

 3年ぶり23度目出場の静岡は、星稜(石川)に逆転負けし、初戦で姿を消した。1回に2点を先制しその後も追加点。しかし、4-2でリードした7回に2失策から同点とされ、8回にエース辻本宙夢(3年)が決勝打を浴びた。これまで相手のミスに乗じて得点を重ねてきた静岡だったが、4失策で自滅した形となった。今日13日に静岡へ戻り、春のセンバツに向けて新しいスタートを切る。

 11年ぶりの勝利を逃した。昨秋の東海大会準決勝での豊川(愛知)戦、今春の東海大会での三重戦に続き、またしても1点差で負けた。東海大会は2度ともミスから併殺を完成できずに得点を奪われ、この日も終盤に失策から追いつかれた。栗林俊輔監督(41)は「二遊間のミスが…。序盤に3点取れたがミスで手放してしまった」と話した。

 2点リードの3回裏に安本竜二(2年)が適時失策。同じく2点リードの7回は1死一塁から大石智貴(2年)が失策。次打者の打球を岸山智大主将(3年)が処理も送球で握り直して二塁へ悪送球し1失点。さらに適時打を浴び同点にされた。岸山は「自分のミスだし自分の力不足。下級生は悪くない」と話したが、大石は「自分のせいで負けた」と終始うなだれた。

 直前の7回表2死二塁で岸山はダメ押し点となる適時打を放っていた。それだけに「適時打も帳消し」と肩を落とした。春の大会を終えて岸山のポジションは二塁から一塁へ。送球ミスを回避するのが狙いだったが、大一番で痛恨の失策だった。

 7回の守りを終えてベンチに戻った岸山は仲間に頭を下げた。先頭に立ってこれまでチームを引っ張ってきた主将を仲間も後押しした。最終回には「岸山にまで回すぞ」との声が響いた。岸山は「力量が足りず、本当に申し訳ない」とうなだれた。

 スタンドで見守った岸山の祖父である木嶋敏弘さん(76)は「9回が終わるまで何があるか分からないのが高校野球」と話した。だが、星稜が石川大会で見せたような逆転劇とはならず最後は3者三振で試合終了。岸山は「恩返しができなかった。下級生にはセンバツに出場してこの借りを返してもらいたい」とエールを送った。【加納慎也】