<全国高校野球選手権:日本文理5-2大分>◇12日◇1回戦

 日本文理(新潟)が投打で圧倒し、準優勝した09年以来となる初戦突破を決めた。ドラフト候補の飯塚悟史投手(3年)が8安打2失点で完投。7回には決勝打を放ち自らを鼓舞した。打撃陣も新井充内野手(3年)星兼太外野手(2年)の2本塁打含む13安打と爆発。エースに負けじと「打撃の文理」が本領を発揮し、大分(大分)に勝利した。次戦は18日東邦(愛知)に決定。2季連続初戦負けのうっぷんを晴らした日本文理が、勢いそのままに突き進む。

 日本文理ナインが、バックスクリーンに向かって整列した。3季連続の甲子園出場で初の初戦突破。昨夏、今春はベンチ前で他校の校歌を聞いてきたが、やっと、自分たちが思い切り歌う番がやってきた。エースの飯塚は「とにかく甲子園で1勝したかった。バックスクリーンに向かって校歌を歌えて、気持ち良かったです」と、大きく口を開き、甲子園初勝利をかみしめた。

 エースが投げ、打線が打ちまくった。飯塚は課題の立ち上がりに苦労し先制点を許したが、5回まで何とか2失点に踏ん張り味方の援護を待った。「3点以内に抑えれば、打ってくれると信じていました」と、粘投。すると、同点の7回無死二塁の勝ち越しのチャンスで自ら中前打を放った。「あれで乗っていけました」と、6回以降を無失点で切り抜け、大分の150キロ右腕・佐野皓大投手(3年)とのドラフト候補対決を制した。

 強打で誇る打線も、負けていられないとばかりに火を噴いた。佐野攻略にマウンドの3メートル前からマシン打撃を行い、速球に目を慣らした。1点を追う4回に新井が左翼ポール際へ逆転の2ランを放り込むと、7回には星が右翼席前段へダメ押しの2ランをたたき込んだ。2本とも直球を狙い、打ち返した。公式戦初本塁打の新井は「ストレート打ちを徹底しました。(本塁打を)狙ってはいなかったですけど、うれしいです」と、破顔一笑。春、夏通算で13回の甲子園出場を誇る常連校が、投打にわたって強さを見せつけた。

 この日の2試合目で星稜(石川)が勝利していた。開幕日には敦賀気比(福井)、富山商(富山)が2回戦進出を決め、日本海側の北陸4県の初戦突破へ、残すは日本文理の勝利を待つのみとなっていた。大井道夫監督(72)は「新潟でもこんなバッティングができるんだということを見せられて良かったよ」と、豪快に笑った。校内グラウンドに掲げられた「全国制覇」の横断幕。今年の夏こそ、現実のものにしてみせる。【和田美保】

 ◆日本文理の最近の甲子園成績

 13年夏は1回戦で大阪桐蔭(大阪)と対戦した。森友哉(現西武)に2打席連続本塁打を浴び、2-10で完敗。14年春は初戦で豊川(愛知)と戦い、9回裏同点に追い付かれると、延長13回の末、3-4でサヨナラ負け。飯塚は完投し11三振を奪ったが力投も実らなかった。