<高校野球秋季岩手大会:専大北上6-3水沢第一>◇26日◇1回戦◇花巻球場

 専大北上のプロ注目スラッガー吉田開外野手(2年)が、開幕からセンスを見せつけた。3-3の7回裏無死一塁から右越えに勝ち越しタイムリーを打ち、勝負を決めた。チームは水沢第一に勝利。06年夏以来遠ざかる甲子園へ好スタートを切った。

 狙っていた。3-3の7回裏無死一塁。専大北上3番吉田は内角寄りのボールを捉え、思い切り背中の方まで振り抜いた。右翼に転がる打球を見ながら大きなストライドで二塁まで駆け、さらに守備がもたつく間に三塁にヘッドスライディング(記録は二塁打)。勝ち越しの一打に、三塁上で思わず笑みがこぼれた。「ピッチャーが頑張っていたので良かったです」。3失点のエース犬飼啓太(2年)を援護できたことを喜んだ。

 1年春から打力を見込まれ、ずっとレギュラーで出場し続けてきた。その分、最後の秋にかける思いは強い。県大会初戦のこの日は「正直、力んじゃいました」と3打席までノーヒット。「詰まってもいいからフルスイングしよう」と、開き直って迎えた打席で結果を出した。白浜暁監督(31)は「やっぱり大事なところで打ってくれる。“開(かい)にまわせ”という意識でやってますから」と、勝負強さをたたえた。

 高校通算本塁打は既に36本を数え、来秋のドラフト候補としてプロの注目を集める。この日は中日、巨人2球団のスカウトがネット裏から見守った。巨人・榑松スカウトは「肩、足、体の力、素材は面白い。スイングスピードもあるし、現時点では十分」と将来性を評価した。

 吉田は「(県を)1位で通過し、東北大会で勝ち上がって行きたい」とセンバツの舞台を夢見る。専大北上が甲子園に最後に出場したのは夏は06年、春は72年。「フルスイングしたい。それだけです」。主砲吉田の豪快な一振りが9年ぶりの聖地を引き寄せる。【高場泉穂】

 ◆吉田開(よしだ・かい)1997年(平9)12月4日、福島県須賀川市生まれ。大東小4年から野球を始める。大東中では硬式の須賀川シニアに所属し、投手、外野手。専大北上では1年春からベンチ入り。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。高校通算本塁打36本。家族は両親、兄4人。血液型O。