<高校野球南北海道大会:東海大四4-1苫小牧中央>◇15日◇準々決勝

 タテジマ軍団はやはりこの男、伏見だ。4番の一振りが試合の均衡を破った。8回裏1死一、二塁。地区の「完全試合男」佐藤賢の3球目を右中間にはじき返した。2者がかえり決定的な2点が入った。二塁上で何度もガッツポーズを繰り返した。まさに頼れる4番、千両役者だ。

 「2球変化球が続いた。これは次の速球の布石だと読んだ。迷わず真っすぐだけを狙いました」。直球に自信を持つ佐藤賢の心理まで読む、捕手らしい好判断で狙い打ちした。「自分にみんながつなげてくれたのに、ここで打たなきゃ4番じゃない」。しっかりと自分の役目を果たした。

 決勝の一打の直前、三塁コーチの平沼大幸(3年)が4番に一声かけた。「トライ(伏見の愛称)、気持ちだ」。チャンスになるといつも力むといわれる伏見の心をほぐすひと言。伏見は肩を上下に振り「リラックスしてるよ」と返した。試合を決めた一打に控え選手の絶妙な助言があった。

 チームでの役割分担を明確にする東海大四では、平沼は「声出し役でベンチに入れている」と大脇英徳監督(33)。平沼も「自分は本来、ベンチに入れるはずのない選手。だから試合に出るよりもっと大事なこと(声出し)で頑張りたい」と、こちらも自分の役目を全うした。

 これで4強進出を一番乗りで決めた。優勝までマジックは2。準決勝(18日)までの中2日を伏見は「気持ちを切らさずに過ごしたい」。花園ではなく甲子園へ、トライが突っ走る。