<高校野球三重大会:菰野9-4川越>◇20日◇3回戦

 菰野のプロ注目右腕・西勇輝投手(3年)が課題を残しながらも、先発&リリーフのフル回転で夏の甲子園へ1歩前進した。川越との3回戦に先発し6回を3安打2失点。大量リードもあり、7回から左翼に回ったが、9回2死満塁のピンチで再登板。「火消し役」も演じるなど、大黒柱としての存在感を示した。

 大粒の汗を拭いながら、試合後はしきりに頭をかいた。「またやっちゃいました」。4回まで無安打に抑えるほぼ完ぺきな投球。だが5回に味方が5点を奪い試合を決定づけた直後、3連打で無死満塁とされ、失策絡みなどで2点を失った。12球団22人のスカウトが見守った13日の木本戦でも味方が2点を奪った後に連打を浴びて2失点。再び出た悪い癖に、ベンチに戻ると戸田直光監督(45)から「何やってんだ!」と大目玉を食らった。

 それでも潜在能力の高さは見せた。この日は5球団8人のスカウトが視察する中、力強い直球を主体にスライダー、カーブなど多彩な変化球を交え凡打の山を築いた。15日の練習中に負傷した正捕手の上部浩太郎(3年)に代わり、マスクを被った石倉直貴捕手(1年)には「いいか、とにかく笑え」と声をかけ、後輩の緊張を解きほぐすことも忘れなかった。

 勝ち進むにつれ、少しの油断が命取りになる。「次はビシッといきます」。エースの目の色が少しずつ変わってきた。【上野竜一】