<高校野球東千葉大会:木更津総合2-0東海大望洋>◇25日◇決勝

 春の関東王者が強さを見せつけた。2-0の完勝。先発した田中優投手(3年)が5安打、13奪三振で完封し、東海大望洋打線を寄せ付けなかった。唯一のピンチは8回。2死から三盗され、初めて三塁まで走者を許したが、集中力は切れることなく、空振り三振で切り抜けた。五島卓道監督(54)も「気持ちが成長した」と満足そうな表情を見せた。

 速球は130キロ台中盤ながら、スライダーを武器に得点を許さなかった。地引雄貴捕手(3年)も「いつもよりきていた」とこの球が効果的だった。5回まで0-0。打線の援護がない中で「低めの変化球を投げれば、絶対に抑えられる」と信じて辛抱強く投げ続けた。この力投に打線が奮起した。6回2死二塁から4番を打つ女房役の地引が三塁線を破る適時打を放ち、7回には田中自らが右前適時打して突き放した。

 田中を支えたのは後輩の故斎藤優太さん(当時1年)だった。同じ投手としてフォームを教えるなど面倒を見ていたが、3月27日未明に自宅火災で亡くなっていた。その日、袖ケ浦との練習試合に出発する予定だったナインは1度学校に集められ、突然の悲報を聞かされた。動揺は大きかったが、以来「優太のために」を合言葉に戦ってきた。

 田中には準決勝で1失点完投した淡路大悟投手(3年)というライバルもいる。負けられない。東千葉の6戦を2失点で投げ抜いた2人で大舞台に挑む。田中は「ずっと行きたかった場所。自分の投球をして優太のために、優太の分まで頑張りたい」。歓喜の輪に加わった斎藤さんの遺影にさらなる活躍を誓った。