<高校野球和歌山大会>◇28日◇準決勝

 智弁和歌山の左腕・岡田俊哉投手(3年)が2戦連続完封、紀北工を4-0で破り、5年連続夏代表に王手をかけた。ドラフト上位候補のサウスポーが、センバツV腕の清峰・今村猛(3年)ばりの省エネ投球で102球、紀北工を散発4安打に封じた。

 ガッツポーズはおろか、笑顔すらなかった。完封勝ちした岡田は、当然とばかりに涼しい表情で平野晃土捕手(3年)と軽くグラブタッチ。「最初からセーブして投げてました。60~80%くらい。3回からはバランスだけを意識していた。全力投球はゼロ。今村(のピッチング)が身につきました。いい感じですね」とニヤリだ。

 今春センバツ決勝を甲子園で観戦し、今村の投球に衝撃を受けた。「彼から学んだものは大きい。入れるところは入れて、抜くところは抜く。そんな感じです」。ツボを心得た自在の投球術を目に焼き付けた。

 この日は連戦となる決勝を見据え、今村流の省エネピッチだった。スピードを殺し、コースを丹念につく。3安打を浴びた1回を切り抜けると、2回以降は危なげなし。奪三振は準々決勝の14から7に半減したが、球数は114球から102球に減らした。

 「甲子園を目指してますから。岡田の頭には(決勝との)2試合完投というのがあったのでしょう」と高嶋仁監督(63)。ただ元高校球児の父一起さん(41)は「昨日アイツには『抜くな』と言ったのに。腹立つ」と苦笑いだったが…。

 今秋ドラフト候補では花巻東(岩手)の菊池雄星(3年)に注目が集まる。「菊池君はスーパースター。僕はとてもかないません」と岡田はいうが、こちらは近畿NO・1左腕。「有名な選手を口に出すことで対戦したくなるんで」と対抗心ものぞかせた。さあ、ライバルの待つ甲子園へ-。“温存”した力を、決勝のマウンドで解き放つ。【大池和幸】