北海道勢のダブル初戦突破だ。第92回全国高校野球選手権(甲子園)の南北海道代表・北照と北北海道代表・旭川実が9日、そろって1回戦に登場する。佐賀学園(佐賀)と第4試合(午後4時開始予定)で対戦する旭川実は、左腕鈴木駿平(3年)が勝利に導く。

 北北海道代表・旭川実のエース鈴木が、初戦の佐賀学園戦に無心の投球で挑む。8日は、遠投やランニングなどで調整。これまでの試合前と同様に、前日は投げ込みを行わなかった。全国大会に出場した経験はなく、大舞台での登板は今回が初めて。「今まで三振を取ろうとか欲を出したら、いいことがなかった。欲を出すとダメな人間なので、いつも通りの投球をするだけです」と、持ち味の打たせて取る投球に徹するつもりだ。

 大阪入りした当初は、北大会後にほとんど投げ込みを行わなかったため、制球が定まらない日もあった。しかし、焦らずに9日の登板を見据えて調整を続けた。7日には約50球の投げ込みを行い、球速も130キロ中盤を計測。体重も83キロに戻り、仕上がりは順調だ。「1、2点差の投手戦になるので、いかに自分が踏ん張れるかだと思う」と力を込めた。

 小、中学時代は、全道大会出場が最高成績。同じ興部沙留中出身で鈴木をよく知る安藤陽平捕手(3年)は「顔色も普通だし、いつもと変わらないと思う」と話した。鈴木は「ドキドキ、ワクワクという心境です。不安もあるけど楽しいというのが勝っています」。勝利のイメージができあがっている左腕が、最後の夏に大暴れする。【石井克】