メジャー通算696本塁打を放ち解説者や実業家としても活躍しているアレックス・ロドリゲス氏(46)が、「もしも自分がコミッショナーになったら」のテーマで球界に提言し、話題になっている。野球人気を上げるにはどうすればいいのか。米スポーツ専門テレビ局ESPNの野球中継「サンデーナイト・ベースボール」の副音声番組内で意見を披露した。

提言は5つ。

<1>ストライクゾーンを両サイドに広く、高めは低くする。

<2>内野手は片足を必ず内野フィールド(土の部分)に置き、守らなければ守備違反に。

<3>30球団の打撃ケージに計60個のテレビカメラを設置。

<4>投手登録を1チーム10人まで。

<5>NFLのハーフタイムショーのようなエンタメを組み込む。

というものだ。

ストライクゾーンについては低くすることで打者がコンタクトしやすくなるため、三振を減らしインプレ-の打球が増加してプレーにより動きを出すことが目的だという。<2>も内野守備により動きを加え、身体能力で魅せるシーンを多く作る。<3>については「ゴルフのマスターズでも、タイガー・ウッズが打ちっぱなしの練習をする姿が見られる。選手の練習もエンターテインメントの一部」との意見で、<4>は10人に制限することで先発投手が長い回を投げるようになり先発投手の価値を高めることにつながるという。

米メディアではこれらの提言が「悪くない」と好評だ。攻撃が本塁打か三振か、はたまた四球かという極端な傾向が強まりプレーに動きが少ないと批判されがちな現在、MLBは攻撃力を増し、動きのあるプレーを目指そうと改革を進めている。昨季途中から粘着物質の取り締まりを始め、来季以降には投球時間制限、守備シフトの規制などが導入される見通し。投手がさまざまな適応を強いられる状況になっているが、A・ロッドが説くようなストライクゾーンの変更の効果についてはほとんど語られていない。メジャー屈指の強打者だったA・ロッドの意見だけに説得力があるが、どうだろうか。

もう1つの提言「打撃ケージにテレビカメラを」も確かに面白い。特に室内打撃ケージは、選手が弱点を克服するために集中的な反復練習をするなどファンが普段目にできない特別な練習を行っている場合が多い。メジャーで取材をしていると、球場によっては報道陣も入ることができる通路ぎわに室内ケージがあるところがあり「こんなふうに練習をしているのか」と新鮮な発見をすることがある。それを映像で公開するのは、良いファンサービスになるのではないだろうか。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)