MLBのレギュラーシーズンが終了し、今季はノーヒットノーランを達成した投手が1人もいないという結果になった。2005年以来20年ぶりで、地区制になった1969年以降でわずか5度目のレアなシーズンだった。直近5年間を振り返ると、昨季はカブス今永昇太投手(32)ら3投手による継投ノーノーも含め4度、23年も継投1組を含め4度、22年は継投3組を含め4度、21年は継投2組を含め9度もあり、コロナ禍で60試合の短縮シーズンだった20年でさえ3度も起こっていた。

今季も、あと1歩で惜しくも達成ならずというケースはいくつかあった。ドジャース山本由伸投手(27)が9月6日の敵地でのオリオールズ戦で9回2死までノーヒッターを続けたのは、中でも最も惜しい「未遂」だった。9回2死で1番打者のジャクソン・ホリデーにカットボールをとらえられてソロ本塁打を浴び達成を阻止されるという、まさかの展開だった。試合後、山本は「最後は自分が選んだ球で、口惜しさと、やられたかという、そんな感じ」と振り返っていた。自身が選択した球を打たれたなら仕方がないと諦めもつくといえるかもしれないが、もし別の球を選択していたらと思うと余計に無念かもしれない。特に今季のように他に誰もノーノーを達成していないシーズンだけに、実にもったいなかった。

しかし今季はなぜこうも、ノーヒットノーランがし難かったのか。米メディアでは「先発投手が年々、長いイニングを投げなくなってきた」「2023年のシーズン前に導入されたシフト制限の影響」などの指摘が出ている。だがメジャー全体の完投数は昨季が計28だったが、今季は29と減るどころか微増。シフト制限も昨季もあったわけで、昨季はノーヒットノーランが4度起こったのに今季はゼロという、この違いの説明がつかない。

個人的には、今季からストライクゾーンが狭くなったことが影響しているのではないかと思っている。狭くなったということは投手にとっては厳しくなったわけだが、ストライクゾーンが狭くなったことで打者はバットを振る割合が上がった。今夏に米国に取材に行ってレイズの先発右腕シェーン・バズ(26)と話したとき「打者がびっくりするほどバットを振るようになった」と言っていたし、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(33)が前半戦で打率4割台をキープし続けていたときも、例年よりバットを振る確率が上がっていると指摘されていた。

今季のMLB全体のスタッツを調べると、平均打率は2割4分5厘で昨季より2厘上がり、本塁打は5650で昨季より197本増、OPSも.719で.008増、四球も1万5379で昨季より450増で、三振は4万645で昨季より552減と、打者の成績はわずかながら上がっていた。投手にとって、ややハードなシーズンだったのは確かだろう。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

オリオールズ対ドジャース 9回裏オリオールズ2死、ホリデーにソロ本塁打を打たれ、ノーヒットノーランを逃した山本(中央)は、ナインにハグされて降板する(2025年9月6日撮影)
オリオールズ対ドジャース 9回裏オリオールズ2死、ホリデーにソロ本塁打を打たれ、ノーヒットノーランを逃した山本(中央)は、ナインにハグされて降板する(2025年9月6日撮影)
山本由伸(2025年9月)
山本由伸(2025年9月)