大谷翔平投手(23)の練習に対する姿勢で感心したことがある。先月、本拠地のクラブハウスで、大谷は肩や肘を動かして投球フォームを確認するような動作を見せた。メジャーのクラブハウスは選手の憩いの場。エンゼルスの大半の選手はトランプや、携帯アプリの格闘ゲームなどでリラックスした時間を過ごしている。大谷以外、クラブハウスで打撃や投球のフォームをチェックする姿は見かけたことがない。

 投打の二刀流に挑戦している上、メジャーでは練習時間は日本に比べて短い。「練習時間が足りないのでは?」と問われた大谷は、「ここでも日本でも、十分すぎるような時間はないと思います。家に帰ってからも、やれることあるんじゃないかなと思うので、そういう時間は大事」と答えた。プロとしては当然の受け答えかもしれないが、そんな真面目な大谷のスタイルがエンゼルスでは目立つ。

 クラブハウス内だけでなく、グラウンド上でも同じような姿を見かける。練習を終えてベンチへ戻る時も、突然、ピタッと止まって動き始めるといった具合だ。向上心、探求心の塊と言っていいだろう。二刀流の成功はこういう小さなことの積み重ねのたまものだと感じる。【MLB担当=斎藤庸裕】