開幕日が決まらない中、米国のメジャーリーガーは日常をどう過ごしているのだろうか。エンゼルスで開幕投手に指名されていたアンドリュー・ヒーニー投手(28)が3月31日(日本時間4月1日)、日米メディアの電話取材で、キャンプ中断となった3月中旬以降の生活について明かした。

「たぶん、少なくとも最近10年間くらいで初めて、この時期に家にいるよ。毎日、家にいて、花が咲くのを見たり、変な感じだね。(冬の)オフシーズンだと風も強くてすごく寒いし、あまり外に出られないけど、今は外にもいられる。2、3週間前に生まれためいにも会えたし、普段なら過ごせない家族との時間は、やっぱり素晴らしいね」

同投手は米国の中南部オクラホマ州出身。現在はオクラホマシティー郊外で夫人と過ごしながら、大学の後輩でエ軍の同僚ウィリアムズ投手とともに、トレーニングを続けているという。自宅の周辺でランニング、路上でのキャッチボール、週3度のウエートトレーニングなどで調整し、コンディションを整えている。

自主トレを終えると空き時間となる。音楽や絵画など特に熱中した趣味はなかったため、「自分がもうちょっと、芸術に趣があったらなぁ」と苦笑いする。不動産取引で資産を増やしていくボードゲーム「Monopoly(モノポリー)」を楽しんだり、好きな映画トップ100の中からいくつかの映画を見たり、夫人や同僚投手と多くの時間を共有している。約15年ぶりに野球のテレビゲームも始めたが「すごく下手だね」と自虐的に話し、慣れない遊びにやや苦戦しているようだ。

そんな中、野球に夢中だった少年の頃を思い起こすこともあるという。01年9月11日に起きた中枢同時多発テロでメジャーの試合は中断となった。約1週間後から再開され、当時の試合を映像で見返すたび「野球観戦がどれだけ楽しくて、またどれだけ自分が野球を好きなのか、思い出すよ」と胸が熱くなる。今は世界的にも深刻な事態だが「野球がナショナルパスタイム(国民的娯楽)と言われる由縁を示してくれる」。

人々を熱狂させるグラウンドの中心に今度は選手として立つ。翌週には場所を確保してブルペン投球を再開させる予定だ。「開幕がいつになろうが、精神的にも肉体的にも準備しておきたい」。野球の力を信じ、1日1日、鍛錬を続ける。【斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)