WBCで侍ジャパン大谷翔平投手が、先制満塁弾に続き2戦連発など大活躍しました。日本は1次ラウンドで3連勝し、早くも準々決勝進出を決めました。大会連覇に向けて最高のスタートとなりましたが、今後は強豪チームが相手になり、油断はできません。

日本にとって最大のカギは、リリーフ投手陣だと思います。なぜなら、当初勝ちパターンで期待された石井大智(阪神)、平良海馬(西武)、松井裕樹(パドレス)の各投手が相次ぐ故障で辞退。また、投打二刀流の大谷翔平投手(ドジャース)が打者専念となり、先発陣に比べてリリーフ陣がやや手薄だからです。

そこで、昨年ドジャースが佐々木朗希投手をクローザーに抜てきして成功したように、侍ジャパンも先発陣から誰か1人を中継ぎか抑えに回す必要がありそうです。

最有力候補は、韓国との大一番で7回に3番手で登板し、1イニングを3者連続奪三振と完全投球で“世界デビュー”した種市篤暉投手(ロッテ)だと思います。

近年メジャーでは、スプリットやフォークといった落ちるボールが大流行。24年のワールドシリーズでスプリットはわずか31球だったのが、昨年は何と277球まで急増。特に、頂上決戦のような大一番では、強打者を打ち取るのにスプリットが効果的であり、世界一になるための必須な球種だからです。

侍ジャパンにも数多くスプリットやフォークの使い手はいますが、ロッテの吉井理人前監督が種市のフォークを「世界でも通用する」と大絶賛。昨年9、10月だけで4勝して月間MVPに輝き、驚異の奪三振率11.37をマーク。千賀滉大投手(メッツ)の“お化けフォーク”に匹敵するとも言われます。

とにかく、米国やドミニカ共和国といった破壊力抜群の強力打線を抑えるには、何よりバットに当てさせないことが重要であり、バッターを空振りさせることが絶対条件。9回のマウンドで強打者から空振り三振を奪える投手が、理想と言えます。

一方、攻撃面で最大のカギは、間違いなく大谷でしょう。大会前から大谷が何番を打つか話題になっていましたが、私の予想通り1番でした。最大の理由は初回の先頭打者ホームラン、9回の打席、それと驚異的な出塁率にあります。それによって、大きく試合展開や得点力が変わりそうだからです。

06年第1回大会の米国戦で先発ジェイク・ピービーに対し、イチロー外野手(マリナーズ)が初回先頭打者ホームランを打ち、強烈なインパクトを与えました。昨年ドジャースで主に1番打者に起用された大谷は、先頭打者本塁打を12本記録。イチロー氏のように、ホームランを狙って打てるバッターだからです。

それと昨年大谷は、9回に打順が回って来ると驚異のOPS1.432をマーク。これは相手チームにとって最大の恐怖であり、いかに大谷まで回さないかを考えます。逆にドジャースは、9回に大谷を打席に立たせるために1番で起用しているといっても過言ではないぐらいです。

大谷は昨年ワールドシリーズ第3戦で、4申告敬遠含む9出塁をマークしました。ナ・リーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズとも驚異の出塁率5割を誇ったように、相手チームの監督は走者がいてもいなくても、大谷との勝負を避けると思います。それでも、大谷が出塁すればするほど、得点のチャンスは生まれます。

とにかく1番大谷の存在、それと前大会決勝の米国戦で9回のマウンドを託された大谷に代わる存在として、絶対的クローザーにもなり得る種市が、連覇のカギを握ると言えそうです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

3月8日のオーストラリア戦で8回表の攻撃を抑えた種市
3月8日のオーストラリア戦で8回表の攻撃を抑えた種市